兵庫県尼崎市に本社を置く株式会社Sirusiが、法人・事業主用デザイン印鑑「スター印グラフィー」を2024年1月に発売。機能性を備えつつも、その斬新でおしゃれな印鑑に注目が集まっている。

今回、「スター印グラフィー」をはじめとする同社のデザイン印鑑「印グラフィー」について紹介するとともに、気になるほかの商品についても、担当者に話を聞いてみた。

■「印グラフィー」とは?
Sirusiによると、「印グラフィー」とは印鑑を“使うもの”から“自分を表現するもの”へ変えることを目指し、タイポグラフィを活用して、多様化するそれぞれの価値観や自分らしさを表現することを目的としたデザイン印鑑のことだという。同社は、印鑑製造行程のなかでも特に、印影デザイン(文字デザイン)にこだわりと自信を持っており、デザイナーが一本一本丁寧にデザインを施している。これまでに50万本以上のデザイン実績があるデザイナー、あるいはその監修を受けたデザイナーのデザインのみを商品化しているという。

「多様化する時代のなかで、考え方や価値観など、自分の“らしさ”を出していくことが豊かで幸せなことであると考えています」という同社。さらに、「好きだと言えるこだわりや、無理のないしっくりくる感覚を大切にし、自分にフィットしたモノとココロがつながり“らしさ”を実現。その“らしさ”を具体的に表現できる“印し”づくりを手伝いたい」と考えているそうだ。

モダンデザインと紀元前より続く伝統的な印鑑文字を組み合わせ、今までになかった印鑑デザインとして2018年7月に「ディスク印グラフィー」「ライン印グラフィー」を発表。以来、新作デザインを発表し続け、印鑑デザインにおいて個人・法人問わず人気を獲得し続けている。

■新作のデザイン印鑑「スター印グラフィー」
2024年1月に発売された「スター印グラフィー」は、SF映画のメカやロボをモチーフにしたアーティスティックな法人印鑑となっている。実印や銀行印に使用する丸印には機械で作られた惑星をイメージし、角印には宇宙船やロボの装甲板を表現。メカニカルなパターンに見えつつも、文字をベースにして意味あるデザインを追求した新作である。法人登記や金融機関への登録もスムーズに行える実用的なもので、起業家や個人事業主はもちろん、クリエイターやフリーランスの方におすすめしたいデザイン印鑑だ。

注文の際は、山桜などの“天然木材”、樹脂と木材を織り交ぜた“強化木材”、建材技術で作られた“圧縮天然木材”、チタンやカーボンなどの“新素材”といった15種のハンコ材から選ぶことができ、販売価格は9000円〜と意外にお手頃だ。

■同社商品や印鑑の未来について…担当者に話を聞いた
新作の「スター印グラフィー」をはじめ、同社のユニークな商品や今後の展望などについて、株式会社Sirusi 代表取締役の盛佳男さんに話を聞いた。

――「スター印グラフィー」は、SF映画のメカやロボをモチーフにした法人印鑑とのことですが、SFをモチーフにされた理由は?

【盛佳男】日ごろからデザインのネタを探しているのですが、「宇宙船やロボットのディテールはカッコいいよね」といったスタッフの会話がきっかけです。円形の装甲などもあり、印グラフィーでこんな幾何学模様が作れたら最高だねといった会話で、映画や漫画、模型誌を見ながらインスピレーションを高めていきました。最終的なイメージは某SF映画から最もインスピレーションを受けて、開発が進みました。

――スター印グラフィーを含め印グラフィーは、デザイン要素が強い(自由度が高い)ため、注文の際にお客様が納得する形に着地するのがなかなか難しいのではないかなと思ったのですが…そのあたりはどうなのでしょうか?

【盛佳男】デザイン校正が初稿を含め4回まで可能です。そのなかでイメージを近づけていきます。平均して2回目から3回目で校了にいたっております。かなり細かい要望も多く、具体的なモチーフを入れてデザインしてほしいといった要望もあります。

――公式サイトを拝見したのですが、ペットの肉球を写真に撮影し、その形の印鑑を作る「にきゅ印」も新しい試みですね。現在の日本は、15歳未満の子どもの数よりペットの数が多いと言われているペット社会なので需要がありそうだなと思いますが、お客様の反応はいかがですか?

【盛佳男】かなりいい反応をいただいております。SNSでも好意的に受け取っていただけているので、今後は「にきゅ印」の第3弾の開発を進めようと社内で協議しております。

――ペーパーレスが進み、印鑑の使用頻度が低くなってきている世の中ですが、2018年に株式会社Sirusiを設立された盛さんは、印鑑の未来やこの先の需要についてどのようにお考えになっていますか?

【盛佳男】斜陽産業(供給)ではありますし、制度としての印鑑(需要)も減っていくと考えております。そういった業界ですが、アイデアひとつでチャンスも大きくあります。また、制度としての需要は減ると考えますが、押すのが楽しい、見せたいと思えるような商品開発を続け、文化として発展させていきたいと考えております。

一見、斜陽産業に思える印鑑業界だが、アイデア次第でいくらでも切り開いていけるという期待を感じさせてくれる株式会社Sirusi。新たな印グラフィーの開発や企画を、今後も期待したい。

取材・文=矢野 凪紗