「第96回アカデミー賞」視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』の応援上映「『ゴジラ-1.0』 海神(わだつみ)作戦応援乗船」が19日、東京・TOHOシネマズ新宿と大阪・TOHOシネマズ梅田の2ヶ所で開催された。新宿の会場では、ゲストとして元「雪風」艦長/海神作戦総指揮・堀田辰雄艦長役の田中美央が参加。「応援乗船」の指揮を執った。さらに、サプライズで山崎貴監督も駆けつけた。

 上映前、舞台あいさつに立った田中は「ゲストが僕だけで半分も無理ちゃうか、と思っていたところいっぱいになって、ありがとうございます」と安堵の表情。頭にはゴジラの背びれをモチーフにしたカチューシャをつけ、「応援グッズ、僕も作ってきました。舞浜方面に向かう電車の中で思いつきました」と説明すると、観客に大ウケだった。

 さらに、山崎監督が呼び込まれ、事前に知らされていなかった田中はびっくり。「応援上映の応援に来ました」という山崎監督は、自ら参加を申し出たそうで、「自分の作品で応援上映してもらうのは初めてなんですよ。見たいな、と思って。楽しみにしています」とあいさつ。田中と並んで最前列で鑑賞した。

 上映が始まると、「敷島!」「橘さーん!」「典子!」「明子かわいい!」など登場人物の名前を呼ぶ声やさまざまなツッコミ、笑い声が終始発せられた。ゴジラが怒り、背びれが青い光を放つ場面では劇場内も青いペンライトが瞬き、ゴジラのテーマ曲に合わせて手拍子が起きた。海神作戦が決行されるシーンでは、田中が立ち上がって「海神作戦を開始する!」と号令をかけ、「衝撃に備えよ!」の応酬も。約2時間、異常な盛り上がりを見せた。

 エンドクレジット中も歓声は止まらず、最後の最後にゴジラの咆哮とともに「監督・脚本・VFX 山崎貴」が表示されると、この日一番の拍手と歓声が沸き起こった。上映後、田中は「映画って、こんなに力があるんですね。『ニュー・シネマ・パラダイス』の(映画を見ながら)皆で歓声をあげるシーンが大好きなので、まさか、自分が出ている映画でここまで歓声をいただけるとは思いませんでした。本当にありがとうございました」と感無量な様子。山崎監督も「応援上映っていいですね。楽しかったです。こんなご褒美がまっているとは。ありがとうございました」と感激の面持ちで劇場を後にした。

 今回の応援上映ではコスプレや応援グッズの持ち込みをOKとしていた。ペンライトや“推しうちわ”を持参した人が多く、応援上映のスタイルとしての定着ぶりがうかがえた。ゴジラのフィギアを持ってきた人、Tシャツを着てきた人も多数。そして、コスプレをしてきた人もいた。堀田艦長のコスプレで来場した女性は、この日のために双眼鏡を購入したという。元整備兵・橘のコスプレに挑んだ女性は小さな工具と無線を聞くイヤホンまでそろえるこだわりよう。典子が着ていたものと似たブラウスとカーディガン姿の女性も。

 「東洋バルーン」の刺繍が入った作業服姿の30代の男性は「最高でした。応援上映をやってほしかったので、やっと来たぞって」とこの日を待ち望んでいたと言い、海神作戦中に膨張式浮上装置が作動したシーンで、「我が社の製品です」と叫んだそう。「敷さーん!橘さーんとみんなで声をかけて、盛り上がってよかった」と満足げだった。

 応援上映初体験の男性は「みんな気の利いたことをおっしゃるので、それが面白くて、楽しかったです。会場が一つになって、映画を見ているというよりは芝居を見ているような、スポーツ観戦しているような、そんな感じがあった。体験してみないとわからない面白さだと思いました。最高でした」。

 エキストラとして撮影にも参加していたという男性は、堀田艦長の推しうちわ持参で来場し、「会場の一体感と音響と田中さんとの掛け合い、最高の2時間でした。山崎監督も来てくれてびっくりしました。監督に『おめでとう!』って声を届けられたのがうれしくて、よかったです」と笑顔。

 5歳の時からゴジラ沼にハマっているという女性は、「めっちゃ楽しかったです。きょうのためにうちわも作りました」。うちわに貼った劇中に登場する戦闘機「震電(しんでん)」の写真は、映画に使用した実物大模型が展示されている福岡県筑前町の町立大刀洗平和記念館で撮ったものだそう。「作品的に重いシーンも多いので、(応援上映は)難しくはあったのですが、皆さんのノリが良くて、その都度出てくる言葉があったし、誰かが言ったことに対して、また別の誰かがリアクションしているのも面白かった」と話していた。

 あまりの盛り上がり様に本作の岸田一晃プロデューサーは、「また、やってもいいですかね。(会社に)掛け合ってみます」と観客の前で宣言。昨年11月3日より公開が始まった『ゴジラ-1.0』の熱狂はもうしばらく続きそうだ。