ドラマ『ハンニバル』のハンニバル・レクター役や映画『ドクター・ストレンジ』のカエシリウス役、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』のグリンデルバルド役、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』では主人公の父ゲイレン・アーソ役など、数々の大ヒット作に出演するマッツ・ミケルセンが5日、大阪・インテックス大阪で開催された「大阪ミックコンベンション2024」(以下、「大阪コミコン2024」)のステージイベントに登壇した。

 昨年の大阪コミコン2023・東京コミコン2023にも参加し、ステージ登壇時は座席を埋め尽くすほどのファンが来場したマッツ。3回連続での日本のコミコン参加となった今回は、世界中で大人気の「メタルギア」シリーズや「ボクらの太陽」シリーズなど数々の名作を生み出したゲームクリエイターの小島秀夫氏をゲストにトークを披露した。小島氏が手がけた大ヒットビデオゲーム『DEATH STRANDING』では、ノーマン・リーダスが主演、マッツもメインキャラクターを演じている。

 マッツの登場を今か今かと待っていた立見席まで一杯に埋めて待っていたファンに、MCが冒頭「実はノーマン・リーダスさんがこの場に駆け付けてくれました!」という大サプライズをアナウンスすると、場内からは「ギャー!!!」という悲鳴にも似た声援が巻き起こり、マッツ、小島氏、ノーマンがそろって登場。肩を組む3人が、客席を見る方向を変える度に、その場に居るファンから割れんばかりの大歓声が上がった。

 サイン会、撮影会の合間を縫って駆け付けたノーマンは「みんな楽しんでねー!」と言い残し、3人の久しぶりの再会を祝う満場のファンからの温かい拍手に包まれながらステージを後にした。

 その後、小島氏はジャケットの前を大きく開き、マッツとの2ショット写真をプリントしたTシャツを披露。それを見たマッツは大喜びで思わず小島氏とハグを交わした。

 「個別ではよく会っているのですが、3人そろうのはゲームの最後のシーンを撮影した2018年以来でうれしいです。マッツもノーマンも私にとってもう家族のような存在なんです」と語る小島氏に、マッツも「私も同じ気持ちです。2人ずつでは会っていますが3人で会うのは本当に久しぶりなのでとても懐かしい気持ちでいっぱいです」と答え、3人での再会を喜んだ。

 小島氏からの「ゲームで共演した感想を聞きたい。続編にはマッツは出てないけど」という発言を聞いて、ステージから出て行こうとするしぐさをして会場の笑いを誘ったマッツは「ファンタスティックでクレイジーな体験でした。まず秀夫ユニバースを理解するのにノーマンと顔を見合わせていろいろ意見を出し合ったのですが、最終的にはとにかく飛び込んで行こうということになりました。小島さんはとてもクリエイティブな人で、我々を神のように扱ってくれてすごくうれしかったです」と笑顔で語った。

 それを受けて小島は「でも、よく一緒にご飯も食べに行って、食事をしながらマッツ主演の『マッツマックス』という企画も提案したのですが失笑されました」という秘密のエピソードを明かすとマッツは「もう1回ディナーに連れて行ってくれたらその話を聞いてあげるよ」と息の合った返しをして場内の拍手を浴びた。

 またマッツ主演のドラマ『ハンニバル』の今後の話も聞きたいという小島氏に、マッツが「実は共演者のヒュー・ダンシーや脚本家のブライアン・フラーと会うたびにシーズン4、5、6、7の話をしているのですが、アイデアや妄想を話しているだけで、まだ何も決まって無いんです。私たちが歳を取り過ぎないうちに製作決定してくれるといいのですが」と語るとすかさず小島氏が「歳を取っていても僕がCGで何とかするよ」と反応し、「だから小島さんが大好きなんだよ!」とマッツも即座に返答。2人の親しさや息ピッタリの会話を目の当たりにした場内のファンは一斉に拍手喝采を送っていた。

 テクノロジーの進化で前には出来なかったことが出来るようになっている現在、小島氏のほかのゲームへの出演も興味があるか尋ねられたマッツは「もちろん!小島さんと一緒に仕事をした人は分かると思いますが、ほかの人と仕事をすることが想像できなくなるほど楽しい。出来ればゾンビになったり、飛び回りながらカンフーを使ったりするような役をやりたいです」と小島氏に語りかけると、小島氏は「そのうちゲームじゃなくて映画もやると思うし」とサラッと即答、マッツはたまらず「ぜひ僕にオファーして!」とここでも2人が信頼できるパートナーであることを見せられた場内のファンは惜しみない拍手を送った。

 ここからファンからの質問に答えるコーナーになり、役に入り込む方法を聞かれマッツは「毎回異なります。まず1番大事なのは脚本・ストーリー。次に監督と話をする。そうやって役柄にたどり着いて自分なりに役作りをして監督に確認する、そして監督からフィードバックをもらってキャラクターを完成させていく。私はそういう方法をとっています」と自身の演技のアプローチ方法を語った。

 次に昨年の大阪&東京コミコンで「(コミコンは)クレイジー」と発言していたマッツにどういう部分がクレイジーか聞きたい、という問いには「とにかく人が多い!すごく人が多いにも関わらず、ステージ裏に居るとシーンとしていて、ステージに上がったとたんに大歓声で皆さんが迎えて下さるのがとてもユニークです。母国のデンマークではそんな静と動は無いですから」と日本のコミコンファンに賛辞を贈った。

 また、MCからは出演作品のバランスの良さを指摘されると「何より私は超ラッキーなんです。多くの方々、違う視点を持つ方々に見ていただけていて、仕事を選べるという事がとてもラッキーです。そして好きなことにまずは集中してやる、どこの映画とかどこで撮るということは気にせずにやっています。デンマークでは出来ない仕事もあるし、アメリカの映画や小島さんとの仕事など、それぞれそこでしかできない事もあります。子どもの頃からの夢をかなえられる仕事に携われる自分は本当に幸運です。デンマークももちろん時折懐かしくなるので母国の作品にも出続けています。そのように自分が選べる環境に居るという事が本当にラッキーで幸せだと思います」と謙虚に語った。

 楽しいトークの時間もあっという間に過ぎ、最後に再びハグをしたマッツと小島氏は、お互いの手をぴったりとくっつけハートマークを披露。場内を温かい空気に包みながら素晴らしいステージを終えた。