俳優の松本まりかが18日、都内で行われた映画『湖の女たち』(5月17日公開)の公開記念舞台あいさつに登壇し、主演として挑んだ本作の撮影エピソードなどを語った。

 松本ははじめに「この作品を撮ってから、公開を迎えるのが怖くもありました」と告白。「私自身、この作品をどう(言葉で)表現したら良いのかわからず、未だに一度もSNSでも伝えられていない」と言いつつ、「でも、本当にこの作品は私の人生の中でとても大きな作品です」と誇った。

 クランクアップ後には「女優をやめよう」と思うほど心血を注いだ一作。撮影中は「きつかったですね。ずっと出口が見えなかった。監督はそんな答えが見つかっていない私を信じ続けてくれたんです。その信頼もきつかった」と素直な心境を吐露。

 一方で「監督からはその信頼…作品、キャスト、クルーを信じ切るということを教えてもらった。今は私がこの作品や共演してくださったみなさん、見てくださる方々を信じ切るということをやろうとしていて、この作品に関われたことの意味を実感している日々です」と噛み締めた。

 作品の仕上がりについては、「『ダンサー・イン・ザ・ダーク』という映画を初めて見たときと同じような感覚を覚えました」と言い、「暗くて混沌とした中で、本当に美しいものが見えてくると言いますか…」と続け、「私もこの作品を通じて、美しいものをちゃんと美しいと思えるようになった気がします」と満足げな笑顔を見せた。

 イベントにはこのほか、福士蒼汰、三田佳子、浅野忠信、大森立嗣監督も参加した。

 本作は吉田修一氏の同名小説を原作とし、『日日是好日』『星の子』『MOTHER マザー』の大森立嗣監督が自ら脚本も手がけて映画化した。介護施設で100歳の老人が殺害された事件を発端に、登場人物たちの深い闇が暴かれていくというストーリーで、福士演じる濱中圭介と松本演じる豊田佳代が刑事と容疑者という立場でありながら抗えない関係に溺れ、人間の内なる欲望に目覚めるとともに、過去から隠蔽(いんぺい)されてきた恐るべき真実を引きずり出していくヒューマンミステリーとなっている。