LDH JAPAN所属のアーティストを巻き込み、音楽・小説・アニメなどをクロスオーバーさせるエンタテインメントプロジェクト『BATTLE OF TOKYO』(バトル オブ トウキョウ/以下、BOT)。このプロジェクトに登場するキャラクターを人気の漫画家・イラストレーターたちが描きおろした展覧会『BATTLE OF TOKYO「超東京拡張展」』が、5月15日から東京・SHIBUYA TSUTAYAで開催されている。マンガ・アニメに最も造詣が深い、世界(FANTASTICS from EXILE TRIBE)と、同展にクリエイターとして参加した漫画家・新條まゆ氏に、『BOT』が発信する世界観の可能性と展望を自由に語りあってもらった。

――本日はよろしくお願いします。まず、世界さんと新條先生が以前から親交があったことに驚きました。

【世界】ことあるごとにLINEくれたりするので、結構気兼ねない仲ですよ。

【新條】最初は文化放送超!A&G+『和田昌之と尾崎由香と世界のWADAX Radio』に出演されている和田さんを介して知り合いました。

――お互いどんな点で意気投合されたんですか?

【新條】なんか面白かった。毎回楽しいんですよね。

【世界】いや、こっちのセリフです。でも、真面目な話も結構したりして。色々ざっくばらんに、 本当に気軽に話してくださるし、不思議な方なんですよね。友達のような目線の時もあれば、一転して人生の経験値の高さを感じる瞬間もあったり。

【新條】意外にアニメの話とか全然しないよね?

【世界】『ガンダムSEED』の話くらい(笑)?

――意外です(笑)。さっそくですが『BOT』のこと、今回の企画展のお話を聞かせてください。世界さんに『BOT』がどういうプロジェクトなのか、あらためて全体像を説明頂いてもいいですか?

【世界】前提としてメディアミックスをしまくるプロジェクトで、中でもアニメ化に軸があります。原作は小説が5巻まで出ていて、それと同時に、小説の世界観を含んだリアルなライブもやっていたりとか。「超東京」っていう架空の都市を舞台に、僕らEXILE TRIBEやJr.EXILEのメンバーたちそれぞれが、バックグラウンドを含めたキャラクター設定を持っている。キャラクターとしての僕らアが、その架空都市を舞台に物語を色々繰り広げていきます。

普通だったら考えられないですけど、初手からキャラが全員集合で出てくるのも『HiGH & LOW』的なLDHおなじみ感というか…(笑)。

――いきなり全員総出でぶち上げる系ですね。

【世界】はい。一次会で全員ぶっ倒れるみたいなLDH的スケール感が面白いですよね。これアニメになったらどうすんだろうっていうのを思いつつ、もしかしたらこういう世界線があるかもしれないっていう見方をして頂けたらという感じですね。「マルチユニバース」が考え方として一番近いかもしれません。物語が進んでいく中で、絵もキャラクター性もより明確化されてきて、今回展覧会までやってしまおうという…まだアニメ化されてないですからね(笑)。普通、“アニメ化されたらやりたいこと”をアニメ化する前にやってしまうわけです。

――その辺りのセオリー無視感もすごく楽しいですよね。

【世界】セオリーはもう全部無視してます。そのうえで、こういうLDHっぽいお祭り感を楽しんでもらえたらうれしいですね。

――ありがとうございます。今回の企画展のお話も聞かせて頂きたいのですが、新條先生は吉野北人さんを描かれていて大変な力作に仕上がっています。今回のオファーに対してはどんなモチベーションで臨まれたのですか?

【新條】私、もともとEXILE TRIBEが大好きだったので、『BOT』もよく知っていて。なので、お話を頂いた瞬間、食い気味で「描きます!」って引き受けてました(笑)。でも、フタを開けてみたら漫画家よりイラストレーターさんが多くて、しかもめちゃめちゃ有名な方ばかり。資料送られてきて震え上がっちゃって…。早くも断りたくなってしまいました。

――先生ほどの方でも戦慄された、というのが意外ですね。以前、別の対談で「吉野北人さんの顔になりたい」ともおっしゃっていましたが、実際描くにあたっての思い入れや注力された点は?

【新條】イケメンを描くことがとても好きなのですが、今回に関して言うと、顔が命ではあるのですが、なるべく全身がわかるようにというリクエストだったためものすごく(顔を)小さく描かないといけなかった。なので、イケメン具合をほぼポージングで表現するように意識してますね。

――世界さんは、実際の吉野さんと先生が描かれたイラスト、見比べていかがですか?

【世界】いや、どっちもかっこいいんですよね。「新條まゆが描いた吉野北人」、になると顔の良いところがより濃く出てる感じはすごくします。顔もですけど、ポージングも含めてですよね。多分、北人が普段あまりやらないポージングなんですよ。ただ、やってみたら似合うっていう、新しい見え方がしました。

――下からのアングルで捉えてる感じもカッコいいですよね。

【新條】やっぱり脚が長く見えるんですよね。あとは、“ザ・イケメンポーズ”にしようと思ってました。ひねったポージングは他の方がやってくださるだろうと思ったので。

――今回イラストに関しては、音楽ジャンルとリンクしているという点で、やはり新條先生の『快感▽フレーズ』(▽=ハート)を思い起こしてしまうのですが、音楽アーティストのイケメン表現において、特段こだわりや大切にさせていることってあるのでしょうか?

【新條】やっぱり、衣装なんですよね。『BOT』も元々の衣装というのがあるんですけど、今回これを描く前に、「衣装変えていいですか?」って聞いたんです。そうしたらOK頂いたので衣装をガラッと変えました。イケメン、特に若いアーティストだとなるべく体のラインが出る服を着せたいんです。20代で一番体も美しい時期だから、なるべく体の線を見せたいというか。

――ちなみに、ワインレッドのシャツとライダースの組み合わせっていうのは、すぐインスピレーションとして出てきたものですか? 悩まれましたか?

いや、あまり悩んでいなくて。例えばジャケットを着ると体のラインが出なくなるし、でもTシャツだとキャラとして少し違う。だから、シャツにしたんですけど、本当はこのシャツも、こう、全体的にはだけさせたかったですけど…(笑)。

――新條先生はもともと『BOT』が大好きだったとのことですが、いちファンからみた『BOT』の魅力ってどんな点ですか?

【新條】ライブを観にいったら『スター・ウォーズ』だったんですよ。最初、スクリーンにダーってストーリーが流れてきて、でもそれって普通に考えたらエンタメ界で『スター・ウォーズ』にしか許されない演出。パフォーマンスでもAstro9(FANTASTICSをモデルとした作中のグループ)を演じていたと思ったらFANTASTICSに戻っていったり…、“なんでもあり”感が面白いんです。芸能界、音楽業界広しといえど、こういう力技ができるのはLDHだけですよ。ただただ、「すげえな」と。

【世界】作ってる側としてもその感覚めちゃめちゃありますね。それこそ僕らのライブを観たことない他グループのファンたちも『BOT』だとライブ会場の中でミックスされるんですよね。小説を1巻も読んでない人も、アニメにそこまで興味がなかった子も来るなかで、こういうものをその人たちに向けてやるって、考えてみたらとんでもないことですけど、でも、ついてきてくれるから、本当凄いしありがたいなと思いますね。

――今回の展覧会は“拡張”が一つのテーマになっています。『BOT』が今後、2次元好きの人がリアルなライブに足を運ぶ場になったり、その逆があったり、ファン層が拡張されていくといいですよね。次元を超えて沼ってもらうコンテンツになるために、今後どんな仕掛けがあったら面白いと思いますか?

【世界】この2人はなかなかに発言力を持っちゃってるんでね…いや冗談です(笑)。でも、新條先生にライブ観に来て頂いた時に僕から必ず感想聞くんですけど、的確なアドバイスとぶっ飛んだアドバイス両方頂くんですよね。

僕も『BOT』のコンテンツを作る側の一人ではあるので考えてみるのですが、この先もっとバーサス(VS)構造を見てみたいっていうのはありますね。今の段階では(キャラクターが)一人ひとりなので、誰かと誰かが戦っているような展開を漫画家さん、イラストレーターさんに描いていただくとか。夢のような話ですが。そういった展開をイラストなどで表現できたら、それを僕らはライブでできますし、創作と現実がリンクするものをやれたらと思っています。

【新條】私は、2次元は3次元に絶対「負けちゃならねえ」と思ってるんです。どんなにファンの方に「顔が違う」「実際はこんなことしない」などと言われても、やっぱり「新條まゆが描いた方がカッコいい」って言われないと、それは負けだと思ってる。3次元は良きライバルだし、そういう点では今回のイラストもある意味“リスペクト禁止”と思ってやりました。

例えば、クリエイター側がライブを見て「悔しい! 漫画が負けてんじゃん」と刺激を受けたり、そこのバトルというか、“2次元 VS 3次元”みたいな形で互いに高め合っていけたらいいですよね。

あと、私としてはグループの“シャッフル”が見てみたいかな! 例えばボーカルだけ集めたりとか。スケジュールが難しいかもしれませんが(笑)

【世界】でも、先に2次元の方でシャッフルしてもらったら、逆にこっちのスケジュール空けるしかない!ってなるかもしれないですね。

『BATTLE OF TOKYO「超東京拡張展」』

GENERATIONS、THE RAMPAGE、FANTASTICS、BALLISTIK BOYZ、PSYCHIC FEVERの5グループ、総勢45名をモチーフとするキャラクターを、国内外で活躍する著名クリエイター45人の視点で描いたイラストを展示。

【参加クリエイター】
麻宮騎亜、浅見よう、Azusa、いとうのいぢ、上田バロン、兔ろうと、江川あきら、ERIMO、okojo、カワグチタケシ、弘司、GODTAIL、さいのすけ、さおとめあげは、さくしゃ2、紗与イチ、しらび、新條まゆ、鈴木次郎、鈴木ツタ、TAa、タカヤマトシアキ、武梨えり、タスクオーナ、だんちゃお、悌太、Ppako、花邑まい、ハルタスク、左、平尾アウリ、広江礼威、ひろやまひろし、古海鐘一、BerryVerrine、POKImari、皆川亮二、森井しづき、山中虎鉄、雪広うたこ、読、lack、Ryota-H、ReDrop、ワダアルコ
※敬称略・五十音順

<東京会場>
【日程】2024/5/15(水)〜5/26(日)10:00〜22:00
【会場】SHIBUYA TSUTAYA
【展示内容】コラボイラストの展示/『BATTLE OF TOKYO -CODE OF Jr.EXILE-』衣装展示 ほか
★衣装展示スケジュール
2024/5/15(水)〜5/18(土)Astro9
2024/5/19(日)〜5/22(水)JIGGY BOYS
2024/5/23(木)〜5/26(日)DUNG BEAT POSSE

<大阪会場>
【日程】2024/6/8(土)〜6/23(日)10:30〜22:00
【会場】TSUTAYA EBISUBASHI
【展示内容】コラボイラスト展示/『BATTLE OF TOKYO -CODE OF Jr.EXILE-』衣装展示 ほか

★衣装展示スケジュール
2024/6/8(土)〜6/15(土)MAD JESTERS
2024/6/16(日)〜6/23(日)ROWDY SHOGUN


【日程】2024/5/15(水)〜6/29(土)
【会場】SHIBUYA TSUTAYA 7F
【展示内容】コラボフード&ドリンク/映像放映/展示パネル/『BATTLE OF TOKYO -CODE OF Jr.EXILE-』衣装展示

★衣装展示スケジュール
前期:2024/5/15(水)〜6/5(水)
・MAD JESTERS/ROWDY SHOGUN
後期:2024/6/6(木)〜6/29(土)
Astro9/JIGGY BOYS/DUNG BEAT POSSE