仕事の説明をしている途中なのに、ランチへ出かけてしまった――。部下を抱える上司の多くが、「3ない社員」に手を焼いていることが、IT関連会社「ネクストレベル」(横浜市)の実施した調査で明らかになりました。新卒の新入社員や異動の若手社員が職場に配属されるこの時期、もしも「困った部下」がやって来たら、上司の皆さんどうしますか?

調査は2024年1月にインターネットで実施。部下がいる、もしくは、部下がいた経験がある社会人男女各83人を対象に、「困った部下」のタイプや言動をアンケートで聞きました。

実際に手を焼いた「困った部下」のタイプを尋ねた質問(複数回答)で、最も多かった回答は「責任感がない」(34.9%)。次いで「やる気・意欲がない」(33.7%)と「指示待ち・受動的(自分で考えない)」(33.7%)が同率で続きました。上司の3人に1人が、こうした「3ない社員」の部下に頭を抱えていることがうかがえます。

このほか、「報連相(ホウレンソウ)がない」(29.5%)、「勝手に判断してしまう」(28.9%)、「話が通じない」〈28.9%〉など、業務上のトラブルにつながりそうな「困った部下」に気をもむ上司も少なくありません。さらに、「ミスが多い・直らない」(25.9%)という、上司にとってはもはやお手上げ状態になりそうな部下も。

「責任感がない」部下の例には、次のような言動が挙げられました。

◇最も衝撃的だったのは、私が仕事の説明をしている途中で、いきなり立ち上がって昼食に出かけた。(千葉・32歳男性)
◇急に連絡が取れなくなり、そのまま休職。引き継ぎなど何もなく、他の部下に仕事を押し付けることとなった。(神奈川・31歳男性)

消極的な態度が上司の不評を買った「やる気・意欲がない」「指示待ち・受動的」として例示された部下の言動には、同意する上司たちも多いのではないでしょうか。

◇何か指摘をしても、「はぁ」「あぁ……」という生返事しか返ってこない。(岐阜・27歳女性)
◇言われた作業しかせずに、「次は何をやりますか?」と聞いてくる。まるで自分で考えていない。(神奈川・69歳女性)

調査結果には、「ありえない部下の言動」として、あっと驚くようなエピソードも紹介されています。

◇電話が鳴ったので、「○○さん、ちょっと出てください」とお願いしたら、「私、電話苦手なんで」と断られた。(愛知・44歳女性)
◇「次は気を付けて」と注意をしたすぐ後に、鼻歌を歌いながら仕事していた。(石川・45歳女性)
◇研修中に「先輩の作業を見て覚えるように」と言ったところ、「やっている人間のスキルが低くて参考にならない」と返された。(宮崎・40歳男性)

上司としては、どんなに「困った部下」だからといって野放しにしておくわけにもいきません。とは言え、コンプライアンスが厳しい昨今、激しく叱責したり、人格を否定したりすれば、「不適切」や「ハラスメント」のそしりを免れません。

困った部下への対処法を尋ねた質問に、最も多かった回答は「やんわり指摘する」(68.1%)で、部下への言い方が威圧的にならないように気遣う上司の“神対応”ぶりがうかがえます。

困った部下への対処法では、「なるべくコミュニケーションをとる・雑談で話しかける」(44.6%)、「話を聞く・ヒアリングをする」(41.0%)が続いており、雑談などを通して信頼関係を築いたり、ミスをしても本人の意見に耳を傾けたりする姿勢が大事なことがわかります。

「日頃からコミュニケーションを取って、関係をこじらせないようにしています」(千葉・34歳男性)と、涙ぐましい努力をする上司もいれば、「やんわり伝えるようにしていますが、鈍感なようで、はっきり言わないとわからないかも」(和歌山・39歳女性)と、あきらめ気味の上司も。

アンケートに寄せられた回答には、「困った部下」にならないための上司からのありがたいアドバイスもありました。

◇言われたことをただやるのではなく、その意味を考えてみる。(和歌山・38歳男性)
◇人の話は最後までよく聞きましょう。(兵庫・72歳男性)
◇とにかく笑顔!(北海道・49歳男性)

耳が痛くなりそうですが、「その通り」と受け止めた方がいいのかもしれません。

(読売新聞メディア局 鈴木幸大)