患部に直接貼って痛みや炎症を和らげる「湿布」には、厚みがあってふにゃふにゃとした形状の「パップ剤」と、テープのように貼れる薄い形状の「テープ剤」があります。この形状の違いについて「どう違うの?」「効果は同じ?」「どっちを選べばいいの?」と迷った経験がある人もいるのではないでしょうか。そこで、湿布の形状の違いや選び方のポイントについて、薬剤師の真部眞澄さんに教えていただきました。

「パップ剤」はかぶれやすい人にお勧め

Q.湿布の効果は、形状によってそれぞれ異なるのですか。

真部さん「基本的には痛みや炎症を抑えるという効果は同じですので、患部の形状や貼りやすさなどに合わせていただければ問題ありません。ただ、湿布の形状によってかぶれにくいものや剥がれにくいものなどが特徴としてあるため、患部の場所や使用感などで選んでいただくのがいいですね」

Q.湿布剤を選ぶときのポイントを教えてください。

真部さん「ふにゃふにゃした形状が特徴の湿布は『パップ剤』と呼ばれるものです。冷湿布や温湿布、消炎鎮痛剤配合のものなど、さまざまな症状に対応する商品が多い印象です。パップ剤は清涼感を感じるものが多く、水分が多く含まれているため、かぶれにくい特徴があります。そのため、肌に刺激を感じやすい人、かぶれやすい人にお勧めです。一方で、厚みがあって剥がれやすいデメリットもありますね。

『テープ剤』は伸縮性と密着性が高いため、肘や膝などよく動かす部位でも剥がれにくく使いやすいタイプの湿布です。消炎鎮痛剤配合の商品は筋肉痛や関節痛、疼痛などに効果のある商品がありますね。また、汗をかきやすい箇所にも使えるため、スポーツやアクティブなシーンでも活躍します。その密着力の高さゆえ、かぶれやすい人は注意が必要かもしれません」

Q.効果の持続時間の違いや、使用する上での注意点はありますか。

真部さん「持続時間は商品によって異なり、貼り替える頻度が『1日1回』のものもあれば『1日2回』のものもあります。形状によって持続時間が大きく異なることはありませんので、それぞれの商品に記載された使用の目安時間を確認しながら選んでいただけるといいかと思います。

注意点としては、痛みがある場所に何カ所も一度に貼らないようにすることです。体に入る薬の量はその分多くなります。湿布にも用法・用量は定められているので、きちんと使用方法を守るようにしてくださいね。また、多くの消炎鎮痛剤配合の湿布薬は、アスピリン喘息の診断がある人は使用できない他、一部のテープ剤は光過敏症を起こすことがあるので注意が必要です。

もし、不安なことや選び方で分からないことがあれば、店舗の登録販売者や薬剤師などに確認してみてくださいね」

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 湿布剤は形状が異なる商品が多く販売されていますが、基本的には患部の場所や使用感によって使い分けるのがいいようです。ただ、湿布剤も立派な薬であり、使用方法を間違えると重大な副作用につながる恐れもあります。正しい使用法を心がけながら使うようにしましょう。