経験者から「痛み」に関する声が上がることの多い「尿路結石」。「痛すぎて全く動けなかった」「人生の一番の痛みだった」「あれ以上痛かったことはない」「もう二度と嫌」といった悲痛な声が聞かれますが、そもそもなぜ尿路結石はそれほどの“激痛”を伴うのでしょうか。なかざわ腎泌尿器科クリニック(石川県野々市)院長で泌尿器科専門医の中澤佑介さんに聞きました。

痛みに耐えられず、救急車に…

Q.そもそも「尿路結石」とはどんな病気ですか。

中澤さん「尿路結石とは、腎臓から尿道までの『尿路』に結石が生じる疾患で、特に壮年期の男性と、閉経後の女性に多くみられます。年間罹患(りかん)率は年々上昇を続けており、泌尿器科の外来でみられる疾患の中では、最も頻度の高い疾患の一つです。

しかも、尿路結石は再発率が高く、食事指導や生活指導が適切に行われないと80〜90%が再発します」

Q.“結石”の正体とは何ですか。

中澤さん「結石は、尿に含まれるカルシウムやシュウ酸、尿酸といった成分が過飽和状態になり、結晶化してできます。ほとんどが『シュウ酸カルシウム結石症』です。

尿路結石が発生する明確な原因はまだ分かっていませんが、リスク要因としては体質遺伝の他、生活習慣が大きく関わっているとされています。また、尿路結石ができやすくなる病気として、『副甲状腺機能亢進症』『尿細管性アシドーシス』『シスチン尿症』などが挙げられます。

大きさに関しても個人差があります。4〜5ミリ以下の結石の場合、自然に排出することが多いため、保存的治療を行います。なお、10ミリ以下の場合も、約60%は1カ月以内に自然排出されます」

Q.尿路結石は「激痛」であることがよく知られていますが、なぜそれほどまでに強い痛みを伴うのですか。

中澤さん「腎臓でできた結石が、尿路を通るときに詰まったり、結石が周りの組織を傷つけたりすることによって炎症が起きるためです。これが痛みの原因になると考えられています。

尿路結石は『大動脈解離』『腹部大動脈瘤破裂』と並ぶ“激痛”を伴うことで知られています。痛みに耐えられず、救急車で運ばれる患者さんも少なくありません。なお、この3つに入っていない『くも膜下出血』は、“金属バットで頭をたたかれたような痛み”といわれています」

Q.尿路結石による激痛が現れたときの緩和方法とは。

中澤さん「鎮痛剤などにより症状が緩和します。また、指圧に効果があるとの報告もあります。

ちなみに、腎臓で結石ができ、そのままとどまっている場合と、尿の流れが悪いためにぼうこう内で結石ができる『ぼうこう結石』の場合は、痛みはありません」