ESOTERIC(エソテリック)からプリメインアンプ2モデルが登場した。A級増幅回路搭載の「F-01」とAB級増幅回路搭載の「F-02」で、いずれもフラグシップシリーズ「Grandioso」で獲得した先鋭的な技術が惜しげもなく投入されている。まずここでは、「F-01」のサウンドを角田郁雄氏に解説いただこう。

シンプルで高品位なプリメインアンプの存在が高まる

オーディオのニュースタイルを求めるオーディオ愛好家や音楽愛好家が増えてきている。高音質でシンプルな構成で、ディスクやストリーミング、あるいは映像などを全て再生したいという傾向だ。そんな傾向の中で、プリメインアンプの存在は大きい。現在は、少々高価であってもセパレートアンプに迫る性能を実現し、デザイン的にも高品位で存在感のある製品が求められている。

こうした時代変化にも応えるため、エソテリックは、常にプリメインアンプの開発にも力を入れてきた。そしてここにきて、A級プリメインアンプ「F-01」とAB級「F-02」を登場させた。前者は30W/8Ω、後者は120W/8Ω。

従来のFシリーズからの最大のアップグレードポイントは、増幅の原点となるプリアンプ部だ。フラグシップモデルGrandioso C1Xの最新技術を継承し、進化している。

デザインは美しいシルバー・ショートスクラッチ仕上げがFシリーズの顔。マスターサウンドの再現を実現するために、音を害する振動を最適にコントロールする技術が投入されている。例えば、トップパネルのセミフローティング、スパイクと受け皿を一体化した独自のフット、さらにはパワーアンプの放熱器の特殊なウェーブ形状の採用など細部にわたる。

上位技術を搭載しプリアンプ部を大幅アップグレード

内部技術については、まず、前述のプリアンプ部に注目して欲しい。伝送方式は、フルバランス・デュアルモノ構成で、独自の電流伝送方式ES-LINK Analogの入出力も装備した。

詳細な技術としては、入力選択のロジック制御はリレーを使わず、FETを採用。まさにピュア入力だ。特筆すべきことは、同社開発の「UFA-1792」半導体電子ボリュームを開発し搭載したことだ。これは、超高精度抵抗切り替え方式で、0.1dB/1120ステップ。高精度な操作ノブ機構も備え、ほとんど昔から使い慣れた軸摺動型ボリュームと変わらない滑らかな操作感で、精度だけではなく、ダイナミックレンジとSN比に優れている。これを左右に各1式搭載した。

機能面の魅力は、フルバランス・デュアルモノ・ヘッドフォンアンプ(4ピンXLR)とMC/MMデュアルモノ・フォノアンプを搭載することだ。さらに驚愕することは、プリアンプ部のクオリティを決定するのは電源部であるため、プリアンプ専用外部強化電源ユニットまでも開発したことだ。現在、考えられる、他に類を見ない技術をフル投入していることが、大きな魅力とアドバンテージだ。

次にパワーアンプ部に目を向けると、これは、ほぼステレオパワーアンプ「S-05」と同等で、バイポーラ・トランジスター3パラレル・プッシュプル構成だ。セパレートアンプに匹敵する強力な電源部を搭載。大型のベアマウントEI型トランス(940VA)を搭載し、デュアルモノ構成の整流回路も搭載。1chあたり、10,000μFのブロックコンデンサーを4式並列接続し、強力で安定した高品位電源を実現。出力インピーダンスの低減化技術も採用した。

A級ならではの圧倒的な倍音の豊かさと増幅のスピード

その音は、演奏の実在感を鮮明にする。A級増幅と低インピーダンス化の効果により、圧倒的な倍音の豊かさと増幅のスピードを感じた。ダンピングファクター500の性能値の効果により、制動力が高く、中高域は直熱三極管を思い浮かべるほどの透明感がある。

特に、音楽でエッセンシャルなヴォーカル帯域(中音域)は、滑らかで厚みがある。空間描写も高く、ピアノやシンバルの響きは実に美音だ。

総じて言えることは、マスターサウンドのあり方をこうした技術の投入で再現していることだ。一度、ぜひ、専門店で体験して頂きたい。

(提供:エソテリック)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.191』からの転載です。