長時間スマホを使ったり、ゲームをやり続けたり。現代の子どもたちが陥りがちな悪い習慣をやめさせるには、親はどんなサポートをすべきなのでしょうか? 現役小学校教諭であり、継続アカデミー塾長としても活躍するぞう先生が語ります。

※本稿は、ぞう先生著 『うちの子、脱・三日坊主宣言!』(‎総合法令出版)から一部抜粋・編集したものです。


子どもに悪い継続をやめさせる方法

子どもに悪い継続をやめさせる方法は何か? それは、子どもに戦わせないことです。つまり、親が管理するということです。

管理にも最適なやり方、間違ったやり方があります。正しい方法を実践するだけで、お子さんもパパ、ママも気持ちよく、トラブルなく、動画コンテンツやゲームと付き合うことができます。

もう、「動画コンテンツやゲームなんてこの世になかったらいいのに!」なんて思わなくてもいいんです。早速、悪い継続をやめさせる方法を見ていきましょう。


動画コンテンツやゲームがおもしろいことを認める

まず、パパ、ママがお子さんにやってほしいことは、動画コンテンツやゲームはおもしろいと認めることです。お子さんにとっては、動画コンテンツやゲームはおもしろいからやめられないのです。お子さんもそれは重々わかっています。

だから、パパやママが「動画とかゲームって何がおもしろいの? 全然わからない」と言ってしまうと、お子さんは自分の好きなものを否定されたと感じ、その後の親の話を一切耳に入れてくれなくなります。

そのため、まずは動画コンテンツやゲームはおもしろいこと、日々の生活を彩る上で必要であることをしっかりと認め、それを口に出してお子さんに伝えましょう。
ここは絶対に外してはいけません。


長時間やるとダメな理由を話す

次にやることは、「話す」です。次の三点を、お子さんの年齢に合わせて話してください。

①動画コンテンツやゲームはおもしろいと認める
②動画コンテンツやゲームは自分の力ではやめられないようにできている
③動画コンテンツやゲーム自体が悪いのではなく、長時間するのがダメ

②は、制作者目線で話すとわかりやすいです。そして、自分でやめられないのはあなたが悪いのではなく、制作者がやめられないように作っていることを伝えましょう。

僕は長期休み前に、小学校のクラスの子どもたちにゲームやユーチューブをやめられない理由を話しています。すると、子どもたちは「わかる、わかる」といつもより食いつきがよくうなずいてくれます。

そこで、動画コンテンツやゲームはそれ自体おもしろいし、日々の生活の楽しみの一つとして必要だけど、ダメなのは長時間することだと伝えます。あわせて、長時間やるデメリット(勉強ができないこと、家族と会話ができないこと、睡眠時間が減ることなど)も話します。

このように話すと、子どもはゲームやユーチューブを否定されたとは思わず、長時間することがダメなんだなと理解し、ルールを守ってくれる可能性が高まります。


親子でルールを決める

悪い継続をやめるにあたって、子どもに戦わせないために、子どもに話すべきことをお伝えしてきました。

上記の三点を話すことをすっ飛ばして、いきなりパパとママが「ルールを決めます」と言うのと、なぜルールが必要なのかを語ってからルールを作るのでは、お子さんの気持ちに天と地ほどの差があります。必ずこの三点は話してください。

もし、②(動画コンテンツやゲームは自分の力ではやめられないようにできている)を話している最中に、お子さんが「自分の力でやめられるよ!」と言うのなら、それはそれで実践させてあげればオッケーです。

本当にやめられたなら素晴らしいですし、できなくても、お子さんを責めるのではなく、「ほらね、みんな自分の力ではやめられないんだよ」と言えばいいだけの話です。そして、家庭のルールを作ります。例えば、こんな感じです。

①ゲームをしたり、動画コンテンツを見たりする時間は、一日◯時間まで(平日、休日分ける)
②夜の◯時以降はやらない
③もしも守れなかったら、パパやママが電源を切る
④宿題が終わるまでやってはいけない

パパやママが一方的に決めるのではなく、必ず親子で話し合って決めてください。事前の3つの話にお子さんが納得していたら、スムーズに決まるでしょう。

また、ここで決めたルールがうまく機能しないことや追加の約束がいることなども十分考えられます。お子さんの成長具合でも変わります。そのため、最初に決めたルールに固執することなく、柔軟に変えていくといいでしょう。


ルールを守るティップス

ルールさえ決まれば、後は実行するのみです。ここでは、ルールを気持ちよく守るためのティップスを紹介します。

①キッチンタイマーを使う
これはわが家でやっていることです。例えばゲームを始める前にキッチンタイマー(百均で売っているもので十分です)をセットします。

この利点は、ハッキリと終わりの時間を知らせてくれることです。これがないと、今、どれくらいやっているのかがわからないので、親子で不毛なけんかが起きます。

『何時から始めたの?』
「えーっと、3時かな」
『いやいや、2時半くらいからやってるでしょ』
「2時半は絶対違う、2時50分くらいや」
『いやいや、絶対2時半や!』
「違うって、なんでそんなん決めつけるん?」

親子で決めたルールにのっとって、キッチンタイマーに時間を入れてボタンさえ押していれば起こらないけんかです。無駄な言い合いは避けたいですね。

②スマホは制限をかける
お子さんにスマホを持たせているなら、制限をかけることをおすすめします。なぜなら、スマホは親だけの管理では難しいからです。

中学生くらいになると、自分の部屋にこもることが多くなってきます。そこで、親が子どものスマホの使用を物理的に管理するのは非常に難しいですし、面倒です。今は、どの契約会社でもスマホに制限をかけることができます。

例えば、夜9時以降は使えないように設定したり、インターネットにフィルターをかけて有害なサイトは見られないようにすることもできます。スマホを無制限で使わせることは危険すぎます。

ですので、必ず制限をかけるようにしてください。その際は、制限をかける理由を必ずお子さんに話しましょう。

●スマホを長時間使用すると他の大事なことができなくなること
●スマホは自分の意志ではやめられないこと
●睡眠不足は健康にとって一番の害であること

このようなことをお子さんの年齢に合わせて話すといいでしょう。