PRESIDENT Online 掲載

大手商社で働く若手社員の昼神は、上司の北見課長のパワハラに遭い、「仏の鳥羽」と呼ばれる鳥羽課長のチームに異動になった。異動した途端に功績をあげ始めた昼神の様子を見て気分を害した北見課長は、帰宅後、妻に当たり散らしていた――。(第2回/全3回)

※本稿は、龍たまこ・中川瑛『99%離婚 離婚した毒父は変われるか』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■チームが変わって活躍するようになった新人

■異動した途端に手柄…気に入らん!

■職場と家庭は関係している

「働き方改革」が叫ばれて久しいですが、僕は、「変わりたい」と願うモラハラ・DV加害者のための当事者団体GADHA(ガドハ)を運営して、いかに職場が家庭と関係しているのかを実感しました。

職場が抑圧的な環境だと、働いている人は深く傷つきながら、それでも生きるために仕事をすることになります。

そのストレスが溜まって余裕がなくなると、自分の思い通りでないことが起きた際に簡単に腹を立てて家庭で爆発してしまうとDV加害者はよく言います。

これは、「職場では我慢しているのだから、家庭は自分の思い通りであるべきだ」という甘えが背景にあります。

職場では上司に忖度(そんたく)したり取引先に気を遣っている側だからこそ、家庭ではそれをされる側になりたい、わかってほしいという甘えです。

そのような人ほど、家庭でニーズ(してほしいこと)を共有されたりケアを依頼されると「わがまま」だと思ってしまいます。実際には自分のニーズだけを周りが尊重すべきだと思っている点で、「わがまま」なのは自分なのですが、その自覚が難しいのです。

こうした背景自体は加害者の責任を免ずるものではありません。それでもやはり、この加害的な社会や職場自体が、家庭の安寧を妨げている側面はあります。