プレジデント 2024年5月31日号 掲載

■逆流性食道炎の発症原因とは

新年度がスタートして1カ月、会食などで食べたり飲んだりする日々が続いて、「胸焼け」を起こすことはないだろうか。胸焼けとは、みぞおちの辺りが熱く焼けるような不快感、胸のあたりが重苦しい(または痛い)、酸っぱいものが上がってくるなどの症状を指す。原因は、胃の内容物(主に胃酸)が食道に逆流することがひとつにある。そして食道の粘膜が胃酸によって炎症を起こしている状態を「逆流性食道炎」という。その診断や対処法などについて取り上げたい。

がん研有明病院院長補佐で上部消化管内科部長の後藤田卓志医師は、「現代病ともいえる」と指摘する。

「1965年より前に生まれた世代はピロリ菌に感染している割合が高い。これに感染すると胃粘膜が萎縮して(萎縮性胃炎)胃酸の分泌が少なくなりますから、胃酸が逆流することは少ないでしょう。けれども65年以降は、生まれたときから冷蔵庫があるなど衛生環境が良い中で育ち、ピロリ菌感染率が4割を切りました。今の中学生は、感染率5%とも報告されています。ピロリ菌がいなくなったので元気な胃がいつまでも胃酸をたくさん作ってしまうことがベースにありますね。また、内臓脂肪を蓄積した肥満が増えたことも、逆流性食道炎の発症に影響していると思います」