文部科学省の諮問機関である中教審、中央教育審議会が教員の働き方改革を示す提言を行ない、待遇改善に向けた動きを示しました。 以前からブラックな職場といわれていて、深刻な成り手不足となっている教育現場ですが、果たしてこの提言で改善されるのでしょうか? 5月14日放送『CBCラジオ #プラス!』では、教員免許を持っている光山雄一朗アナウンサーと、CBC論説室の北辻利寿特別解説委員がこのニュースについて話題にしました。

     

改善策の中身は?

改善策の具体的な中身のひとつは、現状、月給の4%に当たる額を支給している教育調整額を10%まで引き上げるということ。

ただ、これは残業代が出ない代わりに支給されているため、「定額働かせ放題」との批判が集まっています。
実際に残業時間が少なければまだ良いのですが、結局この制度は残ってしまうことになります。

さらには学級担任の負担を軽減するため、小学3、4年生にも教科担任制を拡大していったり、担任の手当を増やす方向を考えています。

その他にも管理職手当を増額したり、残業時間を月45時間以内を目標とし、将来的には20時間にまで引き下げようとしています。

教育現場の実情

では、実際の教育現場は今、どのような状況なのでしょうか?

2022年度文部科学省の調査によりますと、採用されてから1年経たずして辞めた公立学校の教諭は635名と、データが残っている中では最多人数だそうです。

そのうち229名は精神疾患によるものということで、精神的な圧迫がかなり強いことがわかります。

また、残業時間が月45時間を超える教師は小学校で64.5%、中学校では77%にものぼっていて、この状態が変わらなければ、10%の教育調整額をもらってもまだ少ないと思われるでしょう。

もし10%に増やした場合は、支出は約2,100億円増えるとの試算があり、予算の調整が必要になりそうです。

教員の志願者は減少傾向

教員になってから辞める方が多いことを問題として取り上げましたが、実は志願者自体も減っています。

公立学校志願者の倍率は2000年が約13倍でしたが、2021年は3.8倍と激減。

北辻が通っていた中学校では、現在教員の負担を減らすように担任を複数で持っているとのことで、人数が少ない中でなんとかやりくりしているようです。

教員の環境改善の必要性は、教師だけの話ではありません。

光山「(自身が通っていた大学の教育学部では)結局私もそうだったので何とも言えないんですが、民間企業に行きたいと思う人の方が私の周りでは多かったという現状がありましたね。

お給料の部分も考えて民間に行きたいという友人もいましたし、いろんな要素が人によってはあったんですけれども。
ですから、今回の提言で志願者の思いがどのように変わっていくのかは注目だとは思うんですが」

ただ、今回の審議を傍聴していた現役の教員からは「点数をつけるとしては0点だ。審議を最初からやり直してほしい」と、厳しい評価が下されました。

光山は「教員の待遇が改善されれば、こどもも質の良い教育が受けられる機会が与えられるといった好循環が生まれる」と語り、環境が改善されることを期待しているとまとめました。
(岡本)