Maki Shiraki

[東京 21日 ロイター] - 3月のロイター企業調査で、2024年度の業績見通しを聞いたところ、36%が1割以上の営業増益を見込んでいると回答した。値上げなどによる売り上げの増加を理由に挙げる企業が多かった。一方、人件費の上昇などで21%が1割以上の減益、4割近くが横ばいとみていた。

大手を中心に高水準の賃上げが続く中、労務費の商品やサービス価格への転嫁は「できていない」との回答が最多となり、厳しい様子も伺えた。

調査期間は3月6日から15日。発送社数は498社、回答社数は237社。

24年度の営業損益見通しについて、23%の企業が「約1割の増益」、13%が「2割以上の増益」と回答した。増益を見込む理由は「売り上げ増」がトップで87%だった。具体的には「半導体分野の回復」(窯業)のほか、紙・パルプ、化学、非鉄金属、食品といった企業が「値上げ」を挙げた。為替差益と答えた企業は5%だった。

一方、9%が「約1割の減益」、12%が「2割以上の減益」と答えた。減益理由の最多は、「売り上げ減」と「コスト増」がいずれも55%と同率だった。「賃上げなどによる人材投資で民間設備投資の減少が懸念される」(建設)といった声が聞かれた。17%が為替差損を挙げた。

24年度に値上げを検討している企業は32%。値上げ幅は31%が「1割ほど」、1%が「2割以上」と回答した。「現状維持」は46%で、値下げを検討しているとの答えは1%だった。労務費を価格にどのくらい転嫁できているかの問いに対しては、3割が「転嫁できていない」と回答した。

24年度の想定為替レートは「140円台」が61%で最多。「150円台」が20%、「130円台」が18%だった。「160円台」を想定している企業はなかった。設備投資計画は47%が「横ばい」、33%が「1─3割増」、8%が「1─3割減」だった。

(白木真紀 編集:久保信博)