Gertrude Chavez-Dreyfuss

[ニューヨーク 30日 ロイター] - 米国債投資家の間では、30日―5月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)をにらんで中期ゾーンを買う動きが広がりつつある。

背景には、物価高止まりによって米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始が遅れ、緩和サイクル全体における政策金利の引き下げ幅も以前よりも小さくなるとの読みがある。

今回のFOMCでは政策金利が5.25―5.50%に据え置かれる見通し。バウエル議長はその後の会見で、経済物価情勢に関して慎重ながらもタカ派的な姿勢を示すとともに、最初の利下げが9月か12月にずれ込むとの市場の観測を裏付ける発言をする可能性が出てきた。

既に金利先物は年内の利下げについて、25ベーシスポイント(bp)が1回だけでその時期は12月の確率が高いとみている。

こうしたシナリオの下での米国債投資で最も高いリターンを得られるのは、5年債などイールドカーブの中間部分を買うことだ、とルーミス・セイレス・アンド・カンパニーのポートフォリオマネジャー、マット・イーガン氏は説明する。

前提となるのは、物価上昇率が2%を下回らず、それに伴ってFRBが景気に対して緩和的でも引き締め的でもないとみなす「中立金利」も上振れる世界だ。

FRBが推計している中立金利は2.6%だが、ルーミス・セイレスなどは3.5―4%ではないかとみており、この通りならば利下げ余地はそれほど大きくない。

以前の緩和サイクルでは成長率と物価上昇率が構造的に下がり、FRBがいったん利下げを開始した後、政策金利は大幅に低下。そういった局面では残存期間が長い国債ほどリターンが大きくなるため、10年債や30年債が活発に買われていた。

しかし利下げ余地が限られるとすれば、10年債や30年債の投資妙味は薄れる。実際、複数の市場参加者によると、足元4.66%で取引されている10年債利回りの適正水準は4.5%とみられ、リターンは限られてしまう。

エンジェル・オーク・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオ責任者を務めるクレイトン・トリーク氏は、物価高の環境を踏まえると政策金利が1.5―2.5%まで下がるとの考えはもはや妥当性を失っていると指摘。中立金利を3.5―4.5%と想定した上で、ルーミス・セイレスと同じように10年債や30年債よりも2―5年債の保有が有益だとの見方を示した。