Martin Coulter

[ロンドン 8日 ロイター] - 米アルファベット傘下のグーグル・ディープマインドは、新薬開発や病気解明を効率化する人工知能(AI)モデルの第3版 「アルファフォールド3」を発表した。

科学誌ネイチャーに8日掲載された論文によると、ディープマインドとその創薬部門アイソフォルミック・ラボの科学者らはアルファフォールド3を使い、ヒトのDNAを含むすべての生命分子の挙動をマッピングすることに成功した。ヒトの代謝に不可欠な酵素から、感染症と闘う抗体に至るまで、たんぱく質と他の分子との相互作用は新薬の発見・開発の鍵を握る。

研究を管轄したディープマインドのデミス・ハサビス共同創業者は7日の記者説明で「新たな性能により、たんぱく質上の特定の場所に結合する分子を設計するとともに、結合の強さを予測することが可能になる」と説明。「病気に効く薬や化合物を設計したいなら、これは非常に重要なステップだ」と述べた。

グーグル・ディープマインドはまた、科学者が実験を行う前に仮説を試すのに使える無料のオンラインツール、「アルファフォールド・サーバー」を公表した。これは従来よりも必要とされるコンピューター科学の知識が少なくて済み、研究者はボタンを数回クリックするだけで試験を行えるという。

バーミンガム大学の分子生物学者、ニコール・ウィーラー氏は、アルファフォールド3によって新薬開発が大幅にスピードアップするとの見通しを示した。