Noriyuki Hirata

[東京 20日 ロイター] - 日本株が久しぶりに意外高をみせた。海外短期筋がロング(買い)姿勢に転換したとの指摘もあり、調整一巡感が意識されている。一方、一段の戻りを試す局面では押し目を買っていた国内の個人投資家による利益確定売りが予想される。需給面で両者の綱引きとなり、日経平均は当面3万9000円台での値固めが進みそうだ。

20日の東京市場で日経平均は短時間で600円超高に上昇する強さを見せた。先物主導の上昇となり、節目の3万9000円を1カ月ぶりに上回ったことで上昇に弾みがついた。グローバル株式市場でリスク選好ムードが回復してきている中、出遅れていた日本株を見直す動きがあるとみられている。

1─3月の日本株高を主導したCTA(商品投資顧問業者)など海外短期筋の一角が「日本株のロングを再開しているようだ」と、JPモルガン証券の高田将成クオンツ・ストラテジストは指摘する。昨年4月ごろにフラットだったCTAのポジションは、その後の日本株高の局面でロングが積み上がってきた。直近は4─5月に日経平均が日柄調整を進めた中で、3割程度の整理が進んだと高田氏はみている。

一方、逆風として想定されるのは、国内の個人投資家による利益確定売りだ。現物と先物で1─3月に6000億円売り越したが、日柄調整が進んだ4─5月には8000億円買い越した。信用取引の買い残高は10日申し込み時点で4兆6979億円と歴史的高水準でもあり「利益確定売りが出やすいゾーンに入ってきた」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)とみられている。

海外短期筋のロングポジションにしても解消されたわけではなく、累積では高水準を維持しているという。加えて、逆張り個人による指数売りを十分に吸収しなければならなず「ここからのCTAによる買いは年初のような加速度的なものにはなり得ず、穏便なペースにとどまる公算が高い」(JPモルガンの高田氏)という。

日経平均は4万円の大台回復が視野に入ってきたものの「米エヌビディアの決算がよほど強ければ別だが、信用買い残をこなして上昇するにはエネルギーが必要」と松井証券の窪田氏は話している。

(平田紀之 編集:橋本浩)