Jan Strupczewski

[ブリュッセル 15日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は15日発表した今年のユーロ圏の経済見通しで、0.8%とした2月の予測を据え置く一方で、インフレ予想を下方修正した。

成長率は昨年11月時点では1.2%と予想していた。最新の予測は日本と同水準で英国の0.5%を上回るが、米国の2.4%をかなり下回る。

欧州委はウクライナ戦争と中東紛争により不確実性と下振れリスクがここ数カ月でさらに高まったと警告した。

ユーロ圏の景気低迷はドイツの不振が主因。同国の2024年の成長率は0.1%、25年は1.0%と見込まれている。11月時点では24年が0.8%、25年は1.2%だった。

フランスは24年が0.7%、25年は1.3%。11月はそれぞれ1.2%と1.4%だった。

来年のユーロ圏の成長率は1.4%に加速する見込みだが、11月時点の1.6%、2月の1.5%を下回る。

消費者物価指数の上昇率は昨年の5.4%から今年は2.5%へ、来年は2.1%へ減速すると予想した。2月時点では今年のインフレ率を2.7%、11月時点では3.2%としていた。

ただインフレの鈍化ペースは不確実性が伴うと指摘。「インフレ率の低下は予想よりも緩やかになる可能性があり、サービスインフレの低下が確実になるまで欧州中央銀行(ECB)は利下げを先送りする可能性がある」との見方を示した。

「さらに一部の加盟国は25年予算で追加の財政再建策を採用する可能性がある。これは現時点では予測に反映されておらず、来年の経済成長に影響を与える可能性がある」とした。

ユーロ圏の今年の財政健全化は11月に予想したほどは進まず、24年の公的債務の対域内総生産(GDP)比は前年と同じ90.0%にとどまるとの見通しを示した。

24年のユーロ圏全体の財政赤字の対GDP比は3.0%、25年は2.8%と予想した。11月時点では24年に2.8%へ低下すると見込んでいた。