巨人が29日、東京ドームで行われたヤクルト戦に0−9で大敗した。先発のフォスター・グリフィン(28)が4回11安打8失点KOされたが、7点差をつけられた3回にグリフィンに代打を送らなかった阿部慎之助監督(45)の采配が物議を醸し、SNSでは「捨て試合」「晒し投げ」がトレンドとなった。GW満員の東京ドームでの「捨て試合」はありなのか、なしなのか?

 「せっかくのGWで捨て試合を見せられるのは言葉にならんわ」

 4万1487人のファンで埋まった東京ドームがざわめきに包まれた。
1軍昇格したグリフィンが、まさかの背信投球。立ち上がりに丸山、オスナ、村上の3連打を含む、5安打を浴びて4失点すると、その後も立ち直れず3回で7失点した。反撃をしなければならない巨人は、3回二死走者無しで、グリフィンに打順が回ってきたが、代打を出さずそのまま打席に立たせたのである。G党が「え?」とザワザワしたのも当然だろう。
グリフィンは一塁ゴロに終わり、4回も続けてマウンドに向かった。もう集中力を失っていたグリフィンは、一死から村上に右翼席の上段まで飛び込む特大の一発を浴びて8失点KO。SNSでは「捨て試合」「晒し投げ」がトレンド入りした。結局、巨人打線は、ヤクルトの先発ヤフーレから、わずか3安打しか打てず完封負けを喫した。
スポーツ各紙の報道によると、阿部監督は、「ゴールデンウイークで今日しか見に来れない人もいた中で無様な試合をして申し訳ないなと思います」と謝罪。
8日に「右腹直筋筋損傷」で出場選手登録を抹消されたグリフィンを制球力が戻らないまま昇格させて見切り発車してしまったことを悔やんだ。そしてグリフィンの続投については「先発には責任がありますから。1イニングでも長くいってもらう」と説明した。
9連戦の7試合目。5月2日は、ゲームはないが、また3日から阪神、中日と6連戦。長いシーズンを考え、できるだけブルペンへの負担を少なくしたいとの戦略的な続投だった。中継ぎのケラーを2軍に落として、グリフィンを昇格させたので、中継ぎも一人足りなかった。しかし、SNSやネット上では、その阿部采配に対しての賛否が飛び交った。
「巨人 ファンはしんどいだろうな。せっかくのGWで捨て試合を見せられるのは言葉にならんわ」「何?この試合捨てんの? GW前半で球場に足を運んでるお客さんに 捨て試合見せんの?」「観に行った人がただただ可哀想」「不運なことに初めての野球観戦の方を連れて来たのがこの試合。攻守全て無気力すぎてプロ野球の魅力が伝わらず残念」という意見に加えて、続投させたグリフィンを4回で降板させたことへの批判もあった。
グリフィンは4回で球数が68球だった。5回から堀田にスイッチした中途半端な「捨て試合」に「阿部は自ら捨て試合にしたんだから5回まで投げさせろ」「7回まで続投させるべき」などという声も出た。
阿部監督は、5回から堀田に2イニング、井上に2イニング、泉に1イニング投げさせた。
「野手の投手起用でもよかったのでは?」という意見もあった。
2020年8月6日の甲子園での阪神戦で、0−11と大差がつき、中継ぎを無駄に消耗させたくなかった当時の原辰徳監督が、内野手の増田大輝をリリーフ登板させたこともあった。増田は無失点で切り抜けたが、賛否が巻き起こり、巨人OBから「巨人軍がやっちゃいけない起用」との批判の声も出ていた。一方で長いペナントレースの中での捨て試合に「長いペナントレースこういう試合もある。 それでも明日に引きずらない、繋げることが必要」と理解を示す意見もあった。

 現役時代にタイトル獲得経験のある某球界OBはこんな意見を持つ。
「この試合の答えはシーズンが終わって出る。あの試合があったからという試合でなければならない。連戦を考えると、1イニングでも中継ぎを無駄に使いたくないという思いはわかる。ただ一方でこの日しか見に来れなかったファンもいる。阪神、巨人は、捨て試合はできないチーム。5万人もファンが入っていてあきらめたような失礼な試合はできない。その中で批判が出るのを覚悟でやるのは、ある意味、阿部監督の挑戦だと思う」
今日の先発は防御率1.73の安定感を残る山崎伊で一方のヤクルトは今季初登板となるロドリゲス。もし負ければ貯金は「1」に減り、中日ー横浜DeNA戦の結果次第では3位転落となる。