佐賀大名誉教授の井上勝利さん

 廃棄物から希少金属を回収する技術を探る「分離精製工学」の基礎研究を約50年間行い、佐賀大の教え子を企業に送り出した。「これまでやってきた小さなことが評価された」と笑顔を見せる。

 中国がレアアース(希土類)を禁輸したことから研究分野が注目された。国が立ち上げた研究部会で委員となり、情報収集などに努めたことが思い出に残る。

 教授まで務めた佐賀大は2010年に定年退職した。留学生を育てた客員研究員を経て、今は悠々自適の生活。長女と暮らし、新聞などに載ったレシピを見ながら台所に毎日立つ。「『ケミストリー(化学)と似てる』と教え子に勧められた料理。楽しいね」。佐賀市本庄町。(大田浩司)