1966年、静岡県の旧清水市(静岡市清水区)で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」で死刑が確定している袴田巖さん(88)の再審が4月17日、静岡地方裁判所で開かれています。

13回目となる17日の公判では、犯行時の着衣とされる「5点の衣類」に付着した血液のDNA型鑑定の信用性が争点となっています。

5点の衣類のうち、半袖シャツ右肩の血痕は袴田さんのものではないーと結論付けた本田克也・筑波大教授によるいわゆる「本田鑑定」について、弁護側は改めて、いかに信用性が高いかを主張しました。

本田鑑定は5点の衣類の発見から44年後の2011年、第2次再審請求審の中で静岡地裁の依頼に応じる形で実施されました。

弁護側は、本田教授が採用した検査キットや機器、手順はいずれも高い信頼性が担保されているとした上で、検察側が批判している抽出法を用いたことを含めても「誤ったDNAが検出されることは生じ得ない」と強調。「本田鑑定では、(シャツの血痕に)現存する型のみが検出されている」として、本教授の用いた手法についての議論は再審の「主要な結論を左右するものではない」と断じました。

「5点の衣類」は、袴田さんの逮捕から1年2か月後、殺害現場近くの袴田さんが勤めていたみそ工場のタンクから、みそに漬かった状態で見つかりました。そのうち半袖シャツの右肩に付いた血痕の血液型が袴田さんと同じB型だったこと、逮捕時は袴田さんの右肩に傷があったことが、死刑判決の決め手となりました。