2024年4月13日に味の素スタジアムで開催された東京ダービー。どちらかと言えば東京Vのファン・サポーターが元気だった前半の戦いを経てスタジアムの雰囲気が一変したのは、FC東京の遠藤が68分にゴールを決めて1-2とした直後からだ。

 逃げ切りたい東京Vのファン・サポーター、早い時間帯に追いつきたいFC東京のファン・サポーターのボルテージが一斉に上がり、それによってスタジアムの熱量がどんどん高まっていく印象だった。ちょっと異様な空間で、これぞダービーの醍醐味なのかなと、記者席でそんなことを考えながら観戦していた。

 両チームのファン・サポーターの熱気によって作り上げられた、文字どおりの異空間で、選手たちも文字通りのバトルを繰り広げた。なかでも目立っていたのはFC東京の仲川で、このアタッカーはファン・サポーターを煽りつつ自らも力強いプレーでチームを牽引した。

 そんな仲川の頑張りもあって、FC東京は最後の最後で追いつく。90+4分に遠藤のミドルが決まった瞬間、スタジアムは割れんばかりの声援とため息に包まれた。

「ベンチでサポーターの方々の熱量も感じていて、個人的にダービーはチャンスだと思っていた。その前まで結果が出てなかったので、ここでひとつ残せば認められるのかなと。その意味で、ひとつ決めることができて良かったです」
 
 遠藤のこのコメントからも、ダービーでのサポーター熱は感じ取れる。途中出場した長友も「格別」と表現したように、スタンドからチームを後押しした両クラブのファン・サポーターは最高に素晴らしかった。

 普段はプレミアリーグやラ・リーガなど海外サッカーしか見ていなくて、「Jリーグなんて」と先入観で思っている方が仮にいれば、是非、東京ダービーを生で観戦してほしい。日本のサッカーも捨てたもんじゃないなと、感じてもらえるはずだ。

 だから、今回の東京ダービーのMVPは誰かと問われれば、迷うことなく「スタジアムに詰めかけた東京VとFC東京のファン・サポーター」と答える。これぞサッカー、これぞダービーという試合を堪能させてくれた選手、そして観客の皆様には「ありがとうございます」とそう伝えたい。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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