25頭を馬券圏内に送り込んだノーザンファーム

桜花賞は2番人気ステレンボッシュ、1番人気アスコリピチェーノで決着。牝馬クラシックは平穏な幕開けとなった。今週は牡馬クラシックの開幕戦、皐月賞が中山競馬場で開催される。これを1986年以降のデータとともに振り返っていく。

昨年は社台ファームの生産馬であるソールオリエンスが勝利。10年ぶりに同生産馬が皐月賞で馬券圏内に入った瞬間でもあった。10年にヴィクトワールピサが1着、エイシンフラッシュが3着、13年にはロゴタイプが勝利。そこから10年もの月日が流れていた。

社台ファーム生産馬は17頭が馬券圏内に入っており、これは2位の記録だ。86年ダイナコスモスの勝利から始まり、95年にはジェニュイン、タヤスツヨシでワンツー決着など数々の実績を積み上げてきた。さらにアグネスタキオンやネオユニヴァース、ダイワメジャーと2000年代初頭には種牡馬としても活躍する皐月賞馬を輩出した。

期間内で馬券圏内に入った馬が最も多いのはノーザンファーム。119頭が出走し、25頭が馬券圏内に入った。また12年以降は、18年を除いて毎年3着以内の好走馬を出している。同生産馬が皐月賞で初めて馬券圏内に入ったのは01年3着のジャングルポケット。初勝利はそれから4年後の05年、ディープインパクトだった。

その後は07年7番人気ヴィクトリー、09年3番人気アンライバルド、15年3番人気ドゥラメンテなど1、2番人気馬を撃破しての複数勝利。そして17年には9番人気1着アルアイン、12番人気3着ダンビュライトと大波乱も演出した。この2頭のワイドは169.6倍、三連単は10643.6倍という高配当となった。


大波乱を巻き起こし、今では相馬野馬追で活躍するノーリーズン

アルアインは単勝オッズ22.4倍での勝利だったが、これは6番目に高い。ここから単勝オッズが低い順に、88年25.2倍ヤエノムテキ、16年30.9倍ディーマジェスティ、04年32.2倍ダイワメジャー、97年51.8倍サニーブライアンと続く。そして最高単勝オッズは、02年のノーリーズンによる115.9倍だ。

ノーリーズンはダービーで8着に敗れたものの、骨折明けの秋初戦の神戸新聞杯ではシンボリクリスエスの2着と好走。この好走が後押しする形で、菊花賞ではデビュー以来初の1番人気となった。しかし、結果はスタート直後の落馬による競走中止。その後は有馬記念6着などの戦績を残したものの未勝利で引退となった。引退後は種牡馬生活を経て、今では相馬野馬追に参加して伝統行事を盛り上げている。

最も低い単勝オッズでの勝ち馬は01年アグネスタキオン、05年ディープインパクト。この2頭は単勝オッズ1.3倍だった。さらに92年1.4倍のミホノブルボン、94年1.6倍のナリタブライアンと続く。続く単勝1.7倍に支持されたのは09年ロジユニヴァース、19年サートゥルナーリアだが、ロジユニヴァースは上記の中で唯一人気に応えられず14着と大敗。だが、その悔しさを跳ね返すように次走のダービーでは1着に巻き返した。

今年はノーザンファーム生産の牝馬レガレイラが参戦。グレード制導入後では4頭目の牝馬による皐月賞挑戦となる。最も着順が上だったのは、91年5着のダンスダンスダンス。14年バウンスシャッセは11着に敗れ、1番人気に推された17年ファンディーナも7着に敗れている。レガレイラはグレード制導入後初となる牝馬による快挙を成し遂げられるだろうか。敬意をもってこの意欲的な挑戦を見守りたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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