国際弁護士の清原博氏が10日、TBS系「ゴゴスマ〜GO GO!smile〜」(月〜金曜後1・55)にコメンテーターとして生出演し、「紀州のドン・ファン」こと和歌山の資産家・野崎幸助さん(当時77)が急性覚醒剤中毒で死亡した事件で起訴された元妻の詐欺事件での初公判について解説した。

 野崎さんの元妻の須藤早貴被告(28)は現在、3つの罪で起訴されており、この日は被告が19歳だった15年に札幌市に住む別の男性から現金約2980万円をだまし取った詐欺罪の初公判が和歌山地裁で開かれた。

 殺人罪は裁判員裁判になる見通しだが、審理は開始のメドが立っていないとされる中で、別の刑事事件での初公判。清原氏は「殺人罪の裁判にはまったく影響はないというか、逆に言えば、影響があってはいけないと考える」と説明した。

 2つの事件をまったく別ものとして考えるのが、裁判上のルールだという。「詐欺罪でたとえ有罪ですよとなったとしても、そのことで殺人罪の方の有罪までも裏付ける証拠として出すのはおかしい」と解説。「確かに、もし須藤被告が人をだましていたとしても、人をだますような人間だということがあったとして、そのことでもって必ず殺人を犯すとは言えない。詐欺で有罪になった人は殺人を犯す、なんていうのは、偏見にすぎない。そういう偏見でもって、殺人を有罪に持っていこうというのは、やってはいけないというのが、刑事裁判のルール」と付け加えた。

 あらためて清原氏は「詐欺の方で有罪になったからといって、そのことが後で行われるであろう殺人の事件(の審理)に影響を与える…これはやっちゃいけないこと」とし、「検察官は詐欺での有罪ということには何も触れないで、殺人の裁判を行っていくだろうと思う」と見通した。