藤井聡太竜王(21)=王将など8冠=への挑戦者を決める第37期竜王戦1組出場者決定戦が21日、大阪・関西将棋会館で指され、久保利明九段(48)が伊藤匠七段(21)に104手で勝利し、久保が3位として決勝トーナメントに出場することになった。前期7番勝負で藤井に挑み、0勝4敗で屈した伊藤は2期連続挑戦を逃した。

 振り駒の結果、伊藤が先手になり、戦型は振り飛車党・久保の四間飛車へ進んだ。久保が角道を止め、6、8手目で9筋の端歩を突いたため、伊藤は穴熊、久保は王が穴熊へ潜る前に戦いは始まった。

 39手目、伊藤が3段目にあった左金を4段目へ押し上げて、久保の王頭へ圧力を加える。そして2度突いた久保の端歩へ逆襲を加えるように歩を突き返し、金香交換を挑んだ。

 交換に応じた久保は、手駒にしたその金を伊藤王の頭上へ放ち、圧力をかけ返す。そして香との小駒の攻めで伊藤の穴熊を攻略した。手駒の飛車角は終局間際まで攻撃参加することなく、伊藤王を受けなしに追い込む快勝譜だった。

 過去2期は決勝トーナメントに不在だった振り飛車党。その第一人者が、3期ぶりの進出を果たした。