◇セ・リーグ 阪神0―2広島(2024年5月7日 甲子園)

 阪神は本拠地・甲子園に今季最多観衆4万2606人を集めた7日の広島戦で20試合ぶり4度目の零敗を喫した。10試合ぶりに5番に戻った佐藤輝明内野手(25)が8回1死満塁で見逃し三振。7回に続く2イニング連続の満塁機を生かせなかった。7回2失点(自責0)の村上頌樹投手(25)を援護できず、2位・巨人に1・5ゲーム差に詰められた。

 終盤になってようやく打線が食らいついても、あと1本が出なかった。2点を追う7回2死満塁は代打・小野寺が遊飛。8回1死満塁は佐藤輝が見逃し三振、森下が二ゴロで本塁が遠かった。20試合ぶり4度目の零敗で、今季最多4万2606人を笑顔にすることができなかった。

 10試合ぶり5番に戻った佐藤輝は「何も言えないです」と言い残した。7回に床田から中前打を放ち、期待がかかった8回の最大のチャンスで結果を残せなかった。代わった島内に対してフルカウントから154キロの外角直球に手を出さなかった。ストライクのコールに“ボールだ”と言わんばかりのアクションをした際どい判定。「何も言えない」には複雑な胸中が表れていた。

 岡田監督は「あれ、ストライクか?なんかちょっと広かったなあ」と感想を漏らした後は、もう判定を問うことはなかった。リーグ最多42個目の三振は、それまでの積み重ねが伏線になっていることを指摘した。

 「そらボールばっかり振っているバッターやからな。そら、そうやで。選球眼がいいバッターやったら、審判も人間やから、ボールって言うかもわからへんで。絶対にボールを振らないバッターなら、判定はボールになるよ。機械じゃないんやから。そういう意味では、味方に付けなアカンわ。審判も」

 全て直球の6球勝負。初球、そして打者有利のカウント3―1からの5球目にあった2度のファウルについても残念がった。

 「甘い球やからな、結局な。ああいうチャンスは一発で仕留めんとな」

 2点劣勢の8回に桐敷を投入し、9回も島本、岡留を送り出す小刻みな継投をした。最後まで勝利にこだわった。「そら(勝負は)分からんからなあ」。中野の2失策が全失点につながった7回自責0の村上を最後まで援護できなかった。降雨中止の前日に「(投手を入れて)9人のうち、3人が1割台やもん」と佐藤輝の復調を願ったばかり。この男が打てば、間違いなく猛虎がもっと勢い付くことを再確認する敗戦だった。(倉世古 洋平)

 ▼阪神・小野寺(7回2死満塁で代打登場して遊飛)力負けです。後からいく以上はギアを上げてきた相手に、ああいう場面で打たないといけない。