突然この世を去った歌手パク・ボラムさん(30)の死亡経緯について、フェイクニュースを拡散させる悪質ユーチューバーらの行動が度を超えている。
先立ってパク・ボラムさんは4月11日、知人らとお酒を飲み、トイレで倒れているのが発見された。病院に運ばれたが、最終的にこの世を去った。
まだ死亡原因がはっきりとしていないなかで、京畿道・南楊州(ナムヤンジュ)南部警察署は本日(4月15日)、彼女の死因究明のための剖検を行う。

「知人がパク・ボラムを死亡させた」のデマまで

そんななか、一部のYouTubeチャンネルには確認されていない内容が収められた動画が公開された。
YouTubeでパク・ボラムさんを検索すると、「パク・ボラムと一緒に酒を飲んだ知人は有名歌手」「パク・ボラム殯所で両親が重大発表」「パク・ボラム死亡原因、現場」などのタイトルがつけられた動画が上がっている。
タイトルがもっともらしいだけで、動画を見てみると、これまで報道された記事を編集しただけだ。有名歌手が誰なのかも明かされておらず、重大発表もなく、死亡原因も出てこない。
また別の動画には、「(一緒にお酒を飲んでいた)知人がパク・ボラムを死亡させた」というデマを盛り込み、まるで他殺であるかのような表現まである。いわゆる「タイトル詐欺」でユーザーを釣ってるわけだが、故人を利用した悪質な行動に関係者たちは怒っている。
パク・ボラムさんと一緒にMnetオーディション番組『SUPER STAR K2』に出演したキム・グリムは、「AIの声で刺激的なタイトルとサムネイルを入れてフェイクニュースを作るユーチューバーたち、何か措置する方法はありませんか?」と訴えた。
そして「旅立った人を利用して金儲けする本当に相手にできない人間たち。私が警察の調査を受けているという虚偽事実まで。知り合いの方から送られてきたリンクを見ると、本当に怒りがわく。いい加減にしてください。天罰を受けます」と心境を残した。
それらの動画は、YouTubeで匿名のチャンネルを運営する「サイバーレッカー」(再生回数を上げるためにフェイクニュースを広める悪質なユーザー)たちが掲載したものと推定される。
「サイバーレッカー」とは、イシューが生じるたびに素早く出回っている素材を使って動画を作るユーチューバーたちを、交通事故現場に出動する牽引車(レッカー)に比喩した新造語だ。
大衆が関心を持つイシューや事件に刺激的なタイトルを付け、確認されていない事実をばら撒いて問題になっている。
今回は故人になったパク・ボラムさんと関連したイシューについて、刺激的なのはもちろん、確認されていない事実まで載せて非難を浴びている。

多くのアイドルが苦しめられる現実

サイバーレッカーの非人格的な行動は、過去にも多数起きた。
NewJeansやIVEをはじめ、多数のアイドルグループがターゲットになって被害を被っている。最近ではNewJeansがサイバーレッカーとの“戦争”を宣言した。
NewJeansは最近、身元公開を要請したサイバーレッカーチャンネル「中学7年生」(@Middle7)のアカウントを削除することに努めた。
このチャンネルは、NewJeansのメンバーをはじめ、LE SSERAFIM、aespa、女優ハン・ソヒなどの有名芸能人を相手に、悪意のある編集された動画やショート映像を公開し、高い再生回数を記録したことがある。
昨年、IVEの所属事務所は、メンバーのウォニョンに対する誹謗を日常的に行ったYouTubeチャンネル「タルドク収容所」の身元を把握し、アカウント運営者を相手に損害賠償訴訟を提起して勝訴した。
依然として訴訟は続いているが、サイバーレッカーを断罪するという点で意味が大きい。その過程で莫大な費用、時間、人材などが必要になったりもした。
とあるマネジメント会社の関係者は、「サイバーレッカーは社会悪だ。匿名に隠れて確認されていない事実を捏造する。法的に対応することも容易ではない」と指摘した。
続けて「若いK-POP歌手たちが警察署で、流された情報が事実ではないことを直接解明しなければならないが、その過程が傷として残る。確認されていない内容を無分別に映像化する形態に強い処罰が必要だ」と強調した。