赤ちゃんがいる子宮の中って、どんな様子?
赤ちゃんは、羊水(ようすい)に満たされた子宮の中で過ごしていますが、苦しかったり、過ごしにくかったりはしないのでしょうか?Q1:赤ちゃんは羊水の中で、苦しくないの?
「自分が水の中で生活することを考えると、つい『おなかの赤ちゃんは、苦しくないの?』と心配になりがちですが、赤ちゃんは苦しくありません。理由は、子宮の中のある胎盤には、ママの血液が満たされていて、へその緒を通じて、胎児へ酸素や栄養が送られているからです。また胎盤は、不要になった二酸化炭素や老廃物を戻す役割も果たしています」(丸茂先生・以下同)Q2:水の中につかっているのに、赤ちゃんはふやけない?
「羊水と胎児の体液の成分はほとんど同じであることと、胎脂(たいし)が羊水をはじくため、赤ちゃんはほとんどふやけません。おなかの赤ちゃんが包まれている“胎脂”とは、胎児の皮脂腺からの脂肪性分泌物と、不要になった表皮細胞の混合物。ラードのようなクリーム状です。羊水に浸され続けている赤ちゃんの皮膚を、ひび割れや剝離(はくり)などから守ってくれます」Q3:おなかの中の温度は? 暑かったり、寒かったりしない?
「おなかの中の温度は、外界の環境温度の影響を受けにくい、ママの体の深部体温に関係すると考えられています。深部体温は人によって差があるものの、ほぼ一定。ママの深部体温が37度くらいなら、羊水の温度もそのくらいだと考えられています。赤ちゃんはぬるめの湯船に使っているようなイメージです」おなかの中で、赤ちゃんはどんな風に過ごしているの?
胎動をすでに感じているママも、まだ感じないママも、おなかの中で過ごす赤ちゃんの行動が気になりますよね。どんな風に過ごしているのか、解説していただきます。Q4:赤ちゃんはいつ寝たり起きたりしているの?
「胎動から、妊娠後期には20〜30分ごとに寝たり起きたりしていることがわかっています。おなかの赤ちゃんの睡眠は、ママの睡眠とはリンクしていません。ママが起きているときも、寝ているときも、規則的に20〜30分ごとに寝起きを繰り返しています」Q5:おなかの中で、赤ちゃんはうんちもするの?
「おなかの中で赤ちゃんは、羊水を飲んでおしっこはしますが、食べ物を食べてはいないので便は作られず、排便もしません。ただし、飲み込んだ胎脂や腸液、産毛(うぶげ)などは腸内にたまっていて、産後すぐ、胎便(たいべん)という緑がかった黒い便として排出されます」おなかの中の赤ちゃんのことが、少し、身近に感じられたのではないでしょうか。
監修/【産婦人科医】丸茂元三 先生 取材・文/たまごクラブ編集部
参考/『中期のたまごクラブ』2024年春号「胎動でわかるおなかの赤ちゃん"今、何してる?"」
●掲載している情報は2024年3月現在のものです。
監修者
【産婦人科医】丸茂元三 先生
PROFILE:丸茂レディースクリニック・院長 産婦人科専門医
日本超音波医学会超音波専門医。東京大学医学部附属病院産婦人科などを経て、2013年に丸茂レディースクリニックを開院。「もっと身近に赤ちゃんを感じてもらいたい」という思いから、3 D&4 D超音波外来を積極的に取り入れた診療をしています。