気象の世界で冬と定義される12月から2月の3か月が終わり、いよいよ春ということで、そろそろサクラ開花の見通しが気になっている方も多いのではないでしょうか。

サクラの開花、去年の場合は…

去年は仙台管区気象台のサクラの標本木が開花したのは、3月26日のことで、平年より13日早く、観測史上最も早くなりました。その後、3月31日には満開となり、観測史上初めて3月での満開となりました。

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仙台のサクラ開花はかつては4月に入ってからというのが当たり前でしたが、温暖化の影響もあってか、2018年以降の6年間ではうち4年が3月中に開花しています。

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宮城県だと昔は入学式の頃にサクラ開花でしたけど、去年はその頃にはもう桜吹雪でしたよね。

tbc気象台・気象予報士の予想は…

そんな中で、我々tbc気象台の予報士も、今年の開花はどうなるか頭をめぐらせています。

今野気象予報士 伊藤気象予報士

伊藤諒気象予報士:
「2月中旬から気温が記録的に上がったり、と思ったら急に気温が下がったりして上がり下がりが大きいため、予想がかなり難しいと思います」

今野桂吾気象予報士:
「たしかに寒暖差はあったんですけど、平均的に見れば暖冬で、暖かいとちゃんと休眠打破が行われるのかが心配なところですね」

今野予報士の「暖冬で休眠打破が心配」というコメントですが、実は、冬は暖かすぎるとサクラの開花が遅れるとされているんです。

「休眠打破」とは一体なに?

桜のつぼみは、秋にいったん休眠し成長を止めます。そのあと冬の厳しい寒さによって目を覚ます「休眠打破」という作用が働き、春に向かう暖かさによって成長していくと言われているんです。

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例えば九州の鹿児島は、冬でも温暖なので休眠打破はあまり働かない年が多く、平年の開花は3月26日と東京よりも2日遅いですし、4年前の2020年にはなんと仙台よりも4日遅い4月1日に開花がずれこみました。

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ただ、宮城ぐらい緯度が高いと、例年より暖かい冬だったとしてもそこそこは寒いため、休眠打破はある程度利くものとみられています。例えば4年前は仙台も観測史上1位の暖冬だったのですが、サクラの開花は3月28日とその時点では観測史上1位の早さでした。ですので宮城のこの冬は暖冬でしたが、サクラの開花が極端に遅くなることは考えにくいとみています。

仙台の開花の決め手は?

では、宮城・仙台の場合、何がサクラの開花の時期を決めるかというと、3月の気温の高さです。仙台のサクラの開花が早かった記録を5位まで並べたものと、それぞれの年の仙台における3月の平均気温がどうだったかを比較すると、3月として暖かかったトップファイブの年が、そのままサクラ開花の早かったトップファイブの記録になっていることが分かります。

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そうなると、この先の3月の気温がとにかく重要ということになりますが、それについて、こちらの資料をご覧ください。

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見慣れない図かと思いますが、たくさんの線が右にいくほど上下に広がっていますよね。これは気象庁からちょうど29日の朝に発表されたばかりの1か月予報の資料です。これは、北日本上空の気温が向こう1か月間、平年より高くなりそうか、低くなりそうかを、スタートを少しずつずらして50通りシミュレーションしたもので、50本の細い線が描かれています。そしてその平均を太い線で表しているのですが、この太い線は3月は平年より少し高めの傾向を示しています。

一方で、去年の3月のような記録的な暖かさにはならない見込みです。

ズバリ!今年のサクラの開花日は…

そこで、気になる今年の仙台のサクラ開花予想は、tbc気象台では3月31日(日)としました!平年より8日早く、去年よりは5日遅い開花になると予想しています。

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今年は新型コロナが5類に移行して初めての春になりますので、お花見を予定している方も多いと思います。

この予想を参考に、去年よりは数日遅いくらいでお花見の予定を立ててみてはいかがでしょうか。