プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は筑波大学出身のプロ、川橋勇太選手の2回目。フォアハンドのブロックリターンについて教えてくれた。

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 リターン自体はもとから得意で、僕の試合は昔からブレーク合戦になることが多いんです。まあ、サービスが弱いこともありますが、そのぶん相手の1stサービスに打ち負けないために、そして簡単にキープさせないために、リターン練習は高校時代からよくやりました。サービスを前から打ってもらい、それをひたすら返すといった練習です。

 スピードのあるサービスをリターンするには、やはりテイクバックをコンパクトにして、本当に“強く当て返す”ことが大切になります。なるべく回転はかけずに面をボールにぶつけ、ネット上の低い所を通すと、威力が落ちません。

 僕は深さよりも、失速しないボールを打つことを重視しています。バウンドしてからもボールの勢いが落ちないように、相手のファストサービスの力を利用してブロックする。それにはコンパクトなテイクバックが必須です。引いた時に腕が身体の横か、前にあるぐらいのイメージで(写真4コマ目)、後ろには行かないように気を付けています。
  威力を出すコツとしては、インパクトする瞬間、腕が伸び切らない方がいいですね。グリップが厚い場合は、少しヒジを曲げた方が、力が入りやすくなります。曲げた状態でインパクトし(6コマ目)、当たってから打ちたい方向に伸ばしていくと(7コマ目)、ボールに力が伝わります。

 あとは身体でボールを押すことですね。僕は左足を1歩前に出してからスプリットステップするんですが(1〜2コマ目)、こうすると2歩分前に行けるので、ボールにぶつかっていく感じがより強くなります。スイングよりも身体でパワーを伝えることが大事です。

 腕は振るというよりも、両手で壁を押すような感覚を持っていますね(6〜7コマ目)。左手をすぐに開かず、前に残すようにして、右手と一緒に押しを加えると、打ち負けなくなります。

【プロフィール】川橋勇太/かわはしゆうた
1998年1月26日、東京都生まれ。178cm、66kg、右利き。筑波大学時代に関東学生連覇、全日本室内選手権準優勝などの戦績を残しプロ転向。早いタイミングのカウンターテニスを得意にする。JTAランキング最高17位。2023年にはITFツアーで2勝目を挙げている。レック興発所属。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2022年8月号より再編集

【連続写真】川橋勇太のフォアハンドのブロックリターン『30コマの超分解写真』

【連続写真】川橋勇太の両手バックハンドのダウンザライン『30コマの超分解写真』

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