前日までの2日間と比べて長打も多く飛び出した大会第3日。ドラフト候補という意味で最も強い存在感を示したのが中央学院の颯佐心汰だ。旧チームからショートのレギュラーとして活躍しているが、まず目立つのがその強肩だ。シートノックのボール回しから一人だけ送球の勢いが違い、実戦でも見事なスローイングを披露。送球に自信があるため、ゴロの処理にも余裕が感じられる。少し無駄な動きは多く見えるが、フットワークの良さも抜群だ。

【PHOTO】中央学院の二刀流颯佐心汰が先制タイムリーとリリーフで躍動!| センバツ1回戦 耐久 1−7 中央学院 5番を任されている打撃でも1回に先制のタイムリーをレフト前に運び、勝負強さを見せた。ヒットはこの1本だったものの、リストの強さは抜群で7回の第4打席では強烈なサードゴロを放ち、相手のエラーを誘っている。そして颯佐の持ち味は野手だけではない。

 投手としても6回からマウンドに上がり、最速142キロをマークしたストレートを武器に4イニングを1失点と見事な好リリーフを見せた。将来的には野手で勝負する可能性が高そうだが、二刀流に挑戦しても面白い素材である。

 颯佐以外は高校からプロ入りを狙うような選手は見当たらなかったが、大学などで成長すれば面白いという選手は確かに存在していた。投手で面白いのが山口瑛太(創志学園)と臼井夕馬(中央学院)の2人だ。山口は被安打4、14奪三振で完封。相手の別海が21世紀枠での出場で打力が強くないということを割引いても見事なピッチングだった。ストレートは130キロ台中盤でもコーナーに投げ分け、緩急を使った攻めも上手い。ここから出力が上がってくれば貴重な制球力の高いサウスポーだけに面白いだろう。臼井も先発で5回を無失点と好投。スリークォーターから投げ込むストレートは最速142キロをマークし、特に右打者のアウトローに決まるボールは独特の角度があった。シュート系のボールをマスターできれば、さらに投球の幅が広がるはずだ。

 野手では中央学院のセンター青木勝吾とキャッチャーの飯山成夢の2人が目立った。青木はセンターから度々強い返球を見せ、打っても長打2本を放ち4度出塁するなどトップバッターとしての役割を見事に果たした。飯山も広角に打ち分けて3打数3安打の活躍。守備でも安定したキャッチングと素早いスローイングが光った。ともに大学で力をつければ今後が楽しみな選手である。

構成●THE DIGEST編集部

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