F1第4戦の日本グランプリで、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は予選でQ3進出を果たして10番手につけ、決勝でも見事なオーバーテイクとチームの完璧なピット作業によって10位フィニッシュを飾った。

【関連記事】「最強のピットストップ見ちまった!」日本GP10位入賞の角田裕毅、ゴボウ抜き実現した“神業”に大反響「超グッジョブ!」 目標だった母国レースでの入賞を飾った23歳の日本人ドライバーには、各方面から賛辞が寄せられているが、それはコース上のパフォーマンスを称賛するものだけでなく、彼が目指している「レッドブル昇格」を推奨するものや、去就に言及するものも少なくないようだ。

 F1専門サイト『F1 OVERSTEER』は、「昨季に引退した4度の世界王者であるセバスチャン・ヴェッテルは日本GPの前、2023年に入ってからの角田の成長を『見ていて素晴らしい」と語った。OBでは他に、インド人ドライバーのカルン・チャンドックは鈴鹿での角田のオーバーテイクを『素晴らしい』と絶賛し、1996年の年間王者デイモン・ヒルは『ユウキは地元の観衆の前で全てを出し切った』と称えた』と報じた。

 F1の著名な解説者であるアレックス・ジャック氏は、シーズン開幕前には「角田はシート喪失の危機に瀕しており、序盤戦で活躍しなければリアム・ローソンに取って代わられる予定だった」として、彼が大きなプレッシャー下にいたと明かし、「しかし、角田は見事にそれに対応し、ダニエル・リカルド相手に4戦全勝を飾った。それは予想だにしなかったものだ」と語っている。

『F1 OVERSTEER』は、「レッドブル顧問のヘルムート・マルコが角田のドライビングを『完璧』と称賛したものの、現時点で“姉妹チーム”に昇格させる見通しはないようだ。 しかし、アストンマーティンが2026年から日本のメーカーであるホンダと提携するため、それに先立って角田が同チームに加わる可能性がある」と綴った。

 同メディアはまた、「英国公共放送『BBC』のF1主任コメンテーターであるハリー・ベンジャミンは、アストンマーティンのオーナー、ローレンス・ストロールに対し、角田を獲得するため、新たに結んだホンダとの関係を活用するよう要請した。彼は、アストンマーティンが本格的なチームになるためには、フェルナンド・アロンソと同等の才能のあるドライバーが必要だと感じている」とも伝えている。
  一方、レッドブル昇格を強く求めたのが、英国のモータースポーツ専門メディアである『MOTORSPORT MAGAZINE』だ。同メディアは、角田について「マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がほとんどのドライバーを打ち負かしている中で、ひとりのドライバーが特に目を引いている。彼が駆る車の性能を考えれば、それはなおさらだ」と称賛し、さらに以下のように続けた。
 「角田は過去9戦で5回の入賞圏内でフィニッシュし、そのうちの6戦でチームメイトを上回った。そして、全ての評論家が言うように上位5チームが固まっているにもかかわらず、今季は4戦のうちの3戦で予選トップ10入りを果たした」

「RBは、若き日本人ドライバーの素晴らしさだけで、コンストラクターズチャンピオンシップで6位につけている。鈴鹿では、素晴らしいピットストップのおかげでポイント獲得のために、戦いに踏み止まり、2台を抜き去って10番手に上がるのに成功した」

 このように、角田に同メディアが期待するのは、「これまでで最も退屈なシーズンとなりつつある2025年シーズンのF1を救うことができるかもしれない唯一の存在」「魂を破壊するほどの退屈の中で、必要とされるエンターテイメントをもたらすことができるただ一人のドライバー」だからだ。

「レッドブルが日本GPやそれ以外の週末でライバルたちを圧倒している中、明らかになったことは、フェルスタッペンの支配に対する挑戦の可能性が、ミルトンキーンズのチームの内部にいるかもしれないということだ――それはレッドブル・グループによって見出され、独自のスタイルで育成された戦士であり、絶対王者にとって最大のライバルになり得る存在である」

 そして最後に、「レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーとマルコ顧問はこれまで、ヴェッテル、セバスティアン・ボーデ、セバスティアン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、スコット・スピード、ダニール・クビアトといった、大胆で野心的なドライバー選択をしてきた。そして今、チームに変化をもたらす時が来た。今こそ、角田を連れて来るべきである」と記事を締めている。

構成●THE DIGEST編集部

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