パリ五輪でメダルの期待がかかるバレーボール男子日本代表の若きエース高橋藍。3シーズン目を過ごすイタリアリーグで、まさに今、日本選手として19シーズンぶりの優勝を懸けた舞台で戦っている。現地4月18日に行なわれた決勝の初戦。試合を終えたばかりの高橋が会場でインタビューに応えてくれた。

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 高橋が今季に加入したミント ヴェロ バレー・モンツァは、伊リーグ/スーペルレーガ2023−24シーズンのプレーオフ決勝へ進出。世界最高峰と呼ばれるリーグで12クラブの頂点を目指す決戦の相手は、石川祐希が所属するアリアンツ・ミラノとの熾烈な戦いを制してこの舞台への切符を手にしたシル スーサ ヴィム・ペルージャだ。
  今季好調な両チームは、ペルージャがすでに出場した3大会(スーペルコッパ、コッパイタリア、世界クラブ選手権)をすべて制覇。モンツァはレギュラーシーズンこそ5位だが、決勝進出はコッパイタリアと欧州チャレンジカップ(ともに準優勝)、そして、このプレーオフで3回目。アウェーで行なわれたこの日の初戦は、セットカウント1-3(25-27、18-25、25-23、23-25)で白星を逃したが、数分前に試合を終えたばかりで紅潮した頬のまま話す高橋の表情は明るかった。

 まず、司令塔のブラジル代表フェルナンド・ジル クレリン(通称カショパ)選手と、開始直前のコート中央で肩を寄せ合い言葉を交わしていた場面について尋ねると、「カショパ選手とは、試合の最初にローテーションを確認して、その時にこの舞台を楽しもうと。楽しんだものが勝つということをお互いに話して鼓舞し合っているので。深い内容ではないんですが、とにかく楽しんでファイナルを勝ち切ろうと話しました」と回答。モンツァの機動力と “エンジョイ”が溢れるバレーを決勝でも貫きたい。敗戦後とは思えない晴れやかな表情の理由に触れた気がした。
  3戦先勝(5試合制)の準々決勝と準決勝を7試合で終えて決勝進出を決めたペルージャに対し、それぞれ最終戦までもつれ込んだモンツァは消化10試合。休養1週間の相手との初戦は、中3日のアウェー連戦となった。過酷なスケジュールのなか、完璧な展開で第1セット終盤までペルージャを圧倒。だが、まさかの逆転で先行を許して2セット目も献上した。第3セットを取り返して意地を見せたが、モンツァらしからぬミスが散見した試合だった。

 チームコンディションがパフォーマンスに影響したか?との問いに、「もちろん、ずっと試合をしているので、その疲労感はあると思うんですけど...。そこを戦っていく、戦っていかなければいけないのがこのリーグ。なので、そこは言い訳にできないですし、もうファイナルまで来ているので(疲労は)互いのチームが持っている問題でもあると思います。それを言い訳にせずに、自分自身をコントロールして戦っていきたいと思います」と言い切り、頂上決戦への覚悟を示した。
  この舞台に立ちたかったであろう、いや、立つはずだった石川。悔しい思いがあるはずだが、イタリアリーグの厳しさを熟知する“ユウキ”から“ラン”へ、決勝前にエールが送られたという。

「石川選手からは、トレンティーノに(準決勝で)勝ったときに、『僕の分まで頑張って!』と言われているので。今は特に連絡を取っていないのですが、石川選手と約束した舞台でもあるので、自分はここで勝つ必要があると思っています」

 開幕まで100日を切ったパリ五輪で日本代表としてともにメダル獲得を目指す石川との約束が、モチベーションをさらに上げているに違いない。

 第2戦はモンツァのホームで日本時間4月21日22時15分に開始予定。敵将からも警戒される背番号12が勝利の立役者となることを大いに期待したい。

取材・文●佳子S.バディアーリ

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