コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介する1作は、まるかわさんの『嫉妬深い椿の話』だ。

まるかわさんは爪塗りとして異世界を歩む『異郷の爪塗り見習い』(主婦と生活社)を連載中の漫画家で、自身のTwitterでもオリジナルの漫画を投稿している。

4月3日に投稿された『嫉妬深い椿の話』は瞬く間に拡散され、2.5万の「いいね!」を獲得。そんな話題の1作を手がけたまるかわさんさんに話を伺い、同作を創作したキッカケなどを語ってもらった。

■就寝中に突如現れた正体不明な霊に嫉妬される!?
転職をキッカケに“庭の美しい古民家”に引っ越しをした1人の女性。そこは1年中、花が咲くように庭づくりされており、内見に訪れた彼女は、その時に咲いていた椿を見て「きれいな椿〜! 一番好きな花なんです」と語っていた。

古民家に住み始めたのは春頃。庭のお隣には桜が咲いており、彼女は「お隣の桜もすっごいな」「家でお花見できるなんて幸せか〜」と言葉をもらし、お隣の桜を絶賛する。

そのタイミングで「あの ちょっと」と恐る恐る現れたのは、古民家の先住民である妖怪・家鳴り。さらに「だめです」「ほかの花を褒めちゃあ」という言葉を残して姿を消す。何のことかわからないまま夜になって寝床についた彼女。就寝中、激しいラップ音で目を開けると、そこには彼女を睨みつける人が…。

悪さをするかと思いきや、泣きながら「おまえ 冬の間は あんなに 好きだと言ったじゃないか」と語りかけてくる。すると天井の方から「椿さぁん」と家鳴りのひと声が… そこで彼女は“この人物が椿であること”に気づく。椿が桜に嫉妬していること察し、彼女は「私、椿が一番好き」と答えた。

翌朝、椿の嫉妬を乗り切った矢先、起床した彼女が換気のために窓を開けると、そこには見知らぬ人が立っていて…。

立て続けに“花に嫉妬される”という展開が好評だったようで、ネット上には「椿さんの気持ちがよくわかるし、見ていて微笑ましい」「妬いてる椿、かわいい」などのコメントが寄せられていた。

■まるかわさんさんにインタビュー!「妖怪は怖くない感じだったらいて欲しい」

――「嫉妬深い椿の話」を創作したきっかけや理由があればお教えください。

元々、新書館ウィングスで『よろずの候』(新書館)という遠州を舞台に妖怪と共生している人々の漫画を書いていたのがきっかけです。妖怪について調べていると年老いた木の化身が人を惑わすことがよくあり、現代に落とし込んで書いてみたいなと思い創作しました。

――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。

木なので木霊たちは、中性的な見た目にしています。また花弁の色を外見に反映させたので、みんな派手髪でした。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

冒頭の主人公がビール片手に縁側で花見をしているシーンは、読み手が同じことをしたくなるように(羨ましくなるように?)幸せいっぱいな感じで描きました。実際はその後、椿からの嫉妬と束縛を受けるので大変なのですが…

また椿の話をベースにした「椿かわいや」という商業短編では、椿のキャラクターに可愛い要素を加えました。(ユリトラジャンプというアンソロジーに収録されています)

――作中では擬人化した椿と桜から嫉妬される主人公という構図ですが、この“花から嫉妬される”という設定はどのような時に思いついたのでしょうか?

作中では全く書いていませんが、私の中では木霊は「人が花を愛する感情によるエネルギーを得て力を得た存在」と定義しています。

「褒められる」=力を得ることに繋がり、さらに褒められ続けて年老いているため、自己顕示欲と承認欲求が凄まじいことになっています。そのため褒めてくれる希少な存在である主人公は、木霊から独占欲の対象となっています。

――他にも「家鳴り」という妖怪も登場しますが、まるかわさんは妖怪の存在を信じますか?

やなりは先述した『よろずの候』という漫画に出てくるキャラクターです。椿の話を書いた当時はちょうど連載中だったため、なんとなく出しました。妖怪は怖くない感じだったらいて欲しいです。

――今後の展望や目標をお教えください。

Twitterにアップした短編漫画をブラッシュアップしていきたいです。いつになるかは分かりませんが、椿の話もちゃんと形にしてみたいと思っています。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

Twitterやpixiv、ニコニコ漫画などで私の漫画を読んでくださり本当にありがとうございます。現在連載している「異郷の爪塗り見習い」もたくさんの方に支えていただいており、感謝の気持ちでいっぱいです。じっくり設定を練って作っている漫画なので最後まで描きたいと思っております。ぜひ今後とも応援いただけたら幸いです。