「あったらいいな」を実現 実写×アニメ×CG…ディズニーの意欲作が“夢見た世界”を具現化してくれた<ワンダーハッチ>
■「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」とは
同作は、実写で描く現実世界「横須賀」と、アニメで描くドラゴンが棲む異世界「ウーパナンタ」が舞台。現実世界の女子高校生ナギと異世界から来た少年タイムが運命的に出会い、やがて互いに協力しながら世界の危機に立ち向かっていく。
ナギ役を清涼飲料水のCMやファッション雑誌などのモデルとして活動する中島セナ、タイム役を2023年7月期のドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)などで頭角を現している奥平大兼が演じる。そんなフレッシュなW主演コンビを支えるのが、新田真剣佑、森田剛、田中麗奈、三浦誠己、成海璃子ら実力派俳優たちと、津田健次郎、武内駿輔、大塚芳忠といった声優たちだ。
そして作品全体の演出を、漫画原作を実写化した「東京喰種 トーキョーグール」(2017年)の萩原健太郎監督が務め、アニメーション監督を「劇場版 ONE PIECE STAMPEDE」(2019年)などの大塚隆史、キャラクター原案・コンセプトアートを「約束のネバーランド」(集英社)の作画を担当した出水ぽすか、アニメ制作を「攻殻機動隊」シリーズなどで丁寧な作画に定評があるProduction I.Gが手掛けるという、豪華な布陣となっている。
■自宅の本棚から異世界の少年とドラゴンがやってくる
第1話「最後の戦い」、2話「秘密の部屋」までは現実世界とアニメーションの異世界パートでそれぞれ分けて描かれ、2話のラストで“融合”。タイムがウーパナンタの世界から相棒のドラゴン・ガフィン(CV:武内)と共に、ウーパナンタの英雄・アクタ(新田)を探しに現実世界へ飛び出してくる。これまでアニメキャラクターだったタイムが、奥平演じるリアルな少年・タイムとして登場するシーンには、とてもワクワクさせられた。
また、タイムが飛び出してくる時に、ナギの自宅の本棚の前に現れた大きく膨らむシャボン玉越しには、アニメタッチの本棚が透けて描かれており、一度見ただけでは気付かないような仕掛けと2つの世界の混ざり合いが印象的なシーンだ。
そしてタイムと一緒に現実世界へやってくるのが、この物語に欠かせない愛嬌(あいきょう)たっぷりの青いドラゴン・ガフィン。作品の面白さの1つを挙げる際に、ナギ役の中島が「ドラゴンが隣にいるっていうのは、すごくファンタジーの魅力です」と、当メディアのインタビューで答えていたように、人間の暮らす世界で当たり前のようにドラゴンがなじんでいる様子は、この作品の面白さの一つだろう。
第4話「あたらしい国」では、ナギ、タイム、ソン(エマニエル由人)の3人組の友情がだんだんと深まっていく中、ナギはタイムに「ガフィンに乗ってみたい」と伝え、2人がドラゴンに乗って空を飛び回るシーンが描かれている。ドラゴンに乗った直後に放ったナギのセリフにもあるように、まるで夢のようなシーンに映し出された空や雲、そして海は繊細でとても美しく、ワンダーハッチの世界観にのめり込むような、没入感を味わえるシーンとなっている。
■ファンタジーらしいド迫力バトルシーンも
物語も後半戦に突入し、第6話「空飛ぶ島」ではアクタらのいる猿島が上空へ浮いてしまうという摩訶不思議な現象が起き、さらに第7話「目醒め」では覚醒したガフィンと同時にウーパナンタの“創造主”と思われていたナギの母・ハナ(田中麗奈)が目覚め、ウーパナンタから神の島・ピュトンピュトが現実世界へ入り込んでくるという衝撃的なシーンの数々が連続して登場する。
特に突如上空に現れた巨大なピュトンピュトのビジュアルは、CGと分かりながらもあまりに立体感のある姿で、その迫力には驚かされるばかり。そんなピュトンピュトで繰り広げられたアクタと伝説のドラゴン乗り・スペース(森田)の激しいアクションは、実写とCGの融合シーンの真骨頂とも言える見応えたっぷりのバトルだ。
■「あったらいいな」が実現した世界観
アニメーションから飛び出したキャラクターたちが、現実世界で次々と活躍し、さらに終盤にかけてたっぷり登場したCG技術を組み合わせた映像には、見ている側の好奇心がかき立たせられた。ある種、子どもの頃にひそかに夢見た「こんな世界、出来事があったらいいな」を具現化したかのような、冒険心をそそる世界観で、思わず見入ってしまう人も多かったのではないだろうか。
最終話で現実世界とウーパナンタの世界の結末、そしてナギとタイムの冒険にはどのようなエンドロールが待っているだろうか。
「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」は、ディズニープラスのスターで毎週水曜に新エピソードを独占配信中(全8話)。
◆文=suzuki