コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“人生2周目の主人公が好きな女子にアタックする話”をテーマに描いた漫画『つよくてニューゲームなラブコメ!』をピックアップ。

作者である漫画家の屋乃啓人さんが、2023月11月29日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、5.9万件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事では屋乃啓人さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

■“2週目の人生”を送る主人公は好きな女子を振り向かせようと大奮闘するが…

スポーツ万能で成績優秀、女子人気も高い小学生・小峰はある秘密を抱えていた。それは“人生をやり直している”ということ。そんな小峰は、クラスメイトの宮乃を見て“かわいいな”“ふつうに好きだぞ”と感じてしまう。そして“お前を振り向かせてみせる…!”と決意する――。

実は、小峰は1周目の人生で宮乃に告白しており、その際「嫌なことしたヤツ好きになるわけないでしょ」「死んでやりなおせ」と辛辣な言葉で宮乃にフラれていたのだった。そのため、2周目の人生となる今回は、宮乃を見かけるたびに「今日もかわいいな」などと声をかけるようにする小峰。しかし褒め言葉を浴びせられた宮乃は、照れを隠すように小峰に強く当たる。そして誰もいないところで“イライラとドキドキ”の感情を爆発させるのだった。

そんなある日、体育の授業で校庭を走っていたところ、体力のない宮乃はよろけて倒れそうになる。その瞬間、小峰は宮乃の体を受け止めて、おぶった状態で彼女を保健室まで連れて行くことに。

その後しばらくして目を覚ました宮乃は、保健の先生に「誰が運んでくれたんですか?」と尋ねる。実は意識が朦朧とする中、“優しくて安心できる男の子の背中だった”ということだけは覚えていたのだ。すると保健室の先生から“運んできたのは小峰”だと聞かされ、とっさに「今のナシ!!」と顔を真っ赤にする宮乃。それ以降、宮乃は小峰をより意識するようになってしまう。

好きな人を振り向かせるために猛アプローチする小峰と、なかなか素直になれない宮乃…。なかなかうまくいかない関係性が続く中、ある出来事をきっかけに2人は急接近する。そして小峰と宮乃は、“2人だけの秘密”を抱えることになるのだった――。

変わった設定と魅力的なキャラクターによって物語が進んでいく本作。2人のピュアなやり取りに、ネット上では「美しくて純粋なお話でした」「良質すぎるラブコメだった…」「こんな素敵な恋愛をしたかった…(笑)」「宮乃さんのツンデレかわいい」など絶賛の声が寄せられている。

■作画の際には「こだわりすぎないように気をつけています」

――『つよくてニューゲームなラブコメ!』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

制作し始めたのは2021年の6月ごろでした。当時は4ページ形式のラブコメ漫画が流行っていたので、それにならい制作しました。私は後発だったので、目立たなければと思い、当時これまた流行っていた「100日チャレンジ」をすることにしました。「100日チャレンジ」は主にイラストレーターのムーブメントで、「100日間毎日新作を上げ続ける」というチャレンジです。

私も同様のチャレンジを漫画ですることにし、その中で生まれた作品の一つが『つよくてニューゲームなラブコメ』でした。当時はここまで長く続けるつもりはありませんでした。(イラストと違って漫画は読む側にも時間がかかり、毎日あげると読者側の負担も増え、効率的ではないなと思ったので100日続けることなく終了しました。それでも意地で1カ月続けました)

――本作では、なかなか素直になれない宮乃さららが非常にかわいらしくて印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。

ラブコメの特性上、ヒロインに目がいきがちですが、頑張っているのは主人公の小峰の方だと思うので、彼に注目してあげてください。宮乃は後半頑張ります。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

本作には載っていませんが、単行本3巻の小峰の暴走ぶりが描いていて楽しかったです。

――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?

だいたいタイトルから決めることが多くて、タイトル決める際のポイントは“違和感”です。『つよくてニューゲーム』はRPGなどのゲームで、「一回クリアした後の世界をクリアしたステータスを引き継いだまま始めからやり直せる」という概念ですが、これと“ラブコメ”を組み合わせたら変で面白いな、みたいな感じです。

別作品で『フリマで恋人を買う話』という作品も描いたのですが、“フリマで買う”も“恋人”も普通の概念ですが、「フリマで恋人を買う」となると違和感があって際立つな、と思って採用しました。そこから膨らませる感じで作っています。

――屋乃啓人さんの作品からは、物語の設定やキャラの表情・言動などにこだわりが感じられますが、実際作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?

こだわりすぎないように気をつけています。読んでいて違和感がなければ、それ以上は作家の自己満足だと思っているので。もちろん作画が魅力的な作品もありますが、私はより早く、定期的に読んでくれる方に届けることが使命だと思っているので。表現も難しくなりすぎないように気をつけています。

――今後の展望や目標をお教えください。

商業に移行しようかなと考えています。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

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