コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回注目するのは、あすかむさんの『疲れたリーマンがロボットと販売員に癒される話』だ。

1月8日、あすかむさんが同作をX(旧Twitter)に投稿したところ、7000件を超える「いいね」を獲得。また「ほっこりする」などの反響も相次ぎ、SNS漫画として注目を集めている。そこで作者であるあすかむさんに、『疲れたリーマンがロボットと販売員に癒される話』を描いたきっかけやこだわりについて話を伺った。

■心身ともに疲弊したサラリーマンを救ったのは家電販売員とペンギン型ロボット
「お客様」「閉店の時間ですが…」

そう店員に声をかけられたのは、携帯電話で猫のライブ動画を観て泣いていたサラリーマンの男性。時間を忘れて動画に没頭していた男性は「すみません」といって退店する。まさか猫の動画で泣くとは思っていなかったので、彼は店を出た後に「疲れてんな」とつぶやいた。

帰宅途中、「玄関の電球」を買うために家電量販店に立ち寄ると、家庭用ロボットの「ペンタ」が「メシ食べる?」「オレは作らないけど」と彼を出迎えた。

ペンタの近くにいた販売員のしげるは「忙しい一人暮らしの方にもおススメです」「色々お話を聞いてくれますよ」と購入を勧めると、「グチは聞かん」とペンタが反論。そこからしげるとペンタの漫才のような押し問答が続き、それを見ていた男性は、つい笑ってしまう。

しかし笑いがいつの間にか涙に変わり、そんな彼を心配するしげるとペンタ。正気に戻った彼は電球を買いにその場から離れるも、購入が終わった後にペンタとしげるに再会する。

彼は「さっきは失礼しました」「お見苦しいところ…」と謝罪をすると、しげるは彼にアメを渡して「元気出していきましょね」「笑顔です」とエールを送り、ペンタも「充電せよ」と彼を見送った。そして帰宅した彼は玄関の電球を取り換え、ふと床を見ると、そこにはしげるからもらったアメがあり…。

疲れたサラリーマンとしげる、ペンタによる心の温まるような描写に、読者からは「何でもない話なんだけど、めちゃくちゃ心に刺さった」「ペンタを購入したい」など好評の声が相次いだ。

■ポイントは「温かくも遠慮のない家族のような掛け合い」
――『疲れたリーマンがロボットと販売員に癒される話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

家電量販店で家庭用ロボットの展示販売を見かけたのがきっかけです。その時は販売員はおらず、ロボットが展示用のスペース内を動き回っていただけなのですが、ロボットがとても可愛らしくて作品に取り入れたいなと感じたのと、多くの人が行き交う「展示販売」というシチュエーションにドラマ性を感じ、そこから想像を広げて漫画にしました。

――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。

ペンタ(作中の家庭用ロボット)と販売員の温かくも遠慮のない家族のような掛け合いがポイントです。2人の売り場で過ごす時間が長く、お互いの性格を知り合っているという設定でセリフを考えました。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。

疲れているリーマンに販売員のしげるがアメを渡すところで、ペンタが「しげるは職務中いつもこれを舐めています」というところです。

すでに人間としての機微も理解しているペンタが自分のロボットとしての立場を敢えて利用して「こいつはいつもアメを舐めてるぞ」としれっと告発する感じが小賢しくも可愛らしいペンタの特徴をよく表していると思います。

――家庭用ロボット「ペンタ」は本当にあったら欲しいと思ったのですが、ペンタはどのようなタイミングで思いついたアイデアなのでしょうか?

今回のお話はロボットと販売員のやりとりに通りすがりのサラリーマンが心打たれるという流れが先に決まっていたので、自分にとって刺さるロボットと販売員のコンビはどんな感じだろうと、2人の性格面から考えていきました。ペンギンのビジュアルは完全に私の好みが反映されています。

――あすかむさんは新宿のゴールデン街でも働いているとのことですが、やはり接客をしているうちにそれが漫画に反映されることはあるのでしょうか?

直接エピソードとして反映されることは今のところありませんが、お客様から教えていただいた恋愛話や過去の思い出話などのお話を考えていく中で、参考になることは多々あります。皆様いろいろな人生を歩んでいらっしゃるので、お話を聞くだけでもどんどん自分の視野が広がる感覚があり、それが無意識レベルでも作品へ還元されていると思います。

――今後の展望や目標をお教えください。

まずは作品数を増やしていき、あすかむの作家としてのアイデンティティを少しでも確立できればと思います。また今年は、漫画以外のグッズなどにも挑戦していきたいと思っています。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

いつもSNS及び書籍で作品をご覧下さってありがとうございます。フリーの作家としてスタートして、まだ日が浅く綱渡りのような日々ですが、これからも作品を生み出し続けられたらと思っています。これからもよろしくお願い致します。