いまやバラエティーやドラマに登場するのが当たり前になりつつある“アイドル”。なかでも映画出演は大きなステップアップで、映画をきっかけに演技を評価されて一躍女優として名を馳せる人も少なくない。2月の衛星劇場では「パッセンジャー 過ぎ去りし日々」「スキ!」「超少女REIKO」といった話題の名作を中心に、いまや女優・タレントとして知られる80〜90年代の有名アイドルが出演した映画を特集して放送。意外と放送されてこなかったレアタイトルに注目する。

■ファンが待ち侘びたレジェンドアイドル出演作品が初放送

アイドルファンの間でいまなお伝説として語り継がれる本田美奈子.さん。38歳という若さで急逝した本田さんが唯一出演した激レア映画が「パッセンジャー 過ぎ去りし日々」だ。

同作で本田さんは“売れっ子ロックシンガー”という現実に則した役を熱演。三田村邦彦が兄のバイクレーサーとして出演し、兄妹がお互いの夢に向かってまっすぐ進もうとする姿を描く。幼い自分を育ててくれた兄の夢を応援する健気な妹を演じる本田さんだが、兄は次のレースで勝てなければ夢への道を閉ざされてしまう。スキャンダル騒ぎや年齢の壁など、さまざまな障害に兄妹は立ち向かっていく。

また他にも、島崎和歌子の初主演作品「スキ!」も見逃せない。本作は1990年12月15日に劇場公開。「君は僕をスキになる」の監督・渡邊孝好&脚本・野島伸司のコンビが再びタッグを組んだ快作だ。

飼っている愛犬に似ているという理由だけで社長令嬢に惚れられた青年・氷介(大江千里)。彼は社長令嬢と婚約まで交わし、順風満帆な生活を送っていた。そんな氷介とは対照的に、運に見放されて占い師の言葉を信じ込む女子高生・双葉(島崎)。彼女は占い師から言われた言葉を鵜呑みにして、運命の男と信じる氷介へ猛アタックを始める。

いまや“お茶の間のご意見番”な島崎だが、当時はまだ17歳。映画初出演にして初主演というプレッシャーを抱えながらも、天真爛漫な少女を演じた。

■10代の観月ありさや富田靖子のヒット映画なども放送

衛星劇場が特集するアイドル映画まつりは、他にも放送が希少な作品が目白押し。

早見優の初主演映画にして、共演に佐藤浩市といった豪華キャストを迎えた「キッズ」。日中国交正常化15周年を記念した作品「パンダ物語 熊猫的故事」は、現在も舞台・ドラマなどで活躍する八木さおりの初主演映画だ。本田さんの「パッセンジャーズ 過ぎ去りし日々」とともに、3作はテレビ初放送のタイトルとなる。

また坂上香織が出演する漫画実写化作品「押忍!!空手部」や藤谷美紀出演の「のぞみ・ウィッチィズ」、サリー・伏見尚子・大橋ひろみがバカンス女子を演じる「いとしのラハイナ」もCS初放送。いずれも他ではなかなか見ないレア映画が並ぶ。

ほかにも富田靖子が主演を務めた「アイコ十六歳」は松下由樹と宮崎萬純のデビュー作でもある。同級生役には佐藤二朗が名を連ね、音楽をサザンオールスターズが担当。さらに富田の主演作となる「ときめき海岸物語」も放送される。

今回のアイドル映画まつりのなかでもう1つ目が離せないのは、映画「超少女REIKO」。1991年11月に劇場公開された同作は、観月ありさの映画デビュー作となる学園・サイキック・ホラー・ムービーだ。

物語の舞台は文化祭が1週間後に迫ったとある高校。だが文化祭ムードで浮き足立っていた同校で女子生徒ばかりを襲う怪奇現象が発生し、学校中が恐怖と混乱の渦に巻き込まれる。そんななか、超能力を持った少女・玲子(観月)を筆頭に6人の生徒が“ESP研究会”を立ち上げ、学校を襲う怪奇現象に打ち勝つべく奮闘する。

島崎和歌子や大沢健らが生徒役としてフレッシュな演技を見せるほか、小泉今日子も特別出演。まぶしいほどの豪華キャストを、平成ゴジラシリーズを手掛けた大河原孝夫が指揮した。

いずれのタイトルも、いまや国民的女優・タレントのルーツを覗ける貴重な作品。彼女たちの懐かしく初々しい姿をいま一度振り返ってみると、新しい発見があるかもしれない。