阿部サダヲ“市郎”、ハラスメントのガイドラインを熱唱「娘が悲しむことはしない」<不適切にもほどがある!>
■宮藤官九郎の脚本によるオリジナル・コメディー作品
脚本は宮藤官九郎が務め、プロデューサーは磯山晶氏が担当。「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)、「木更津キャッツアイ」(2002年)、「タイガー&ドラゴン」(2005年、全てTBS系)でタッグを組んできた2人が、令和で新たな作品を生み出す。
同ドラマには、突如1986年から2024年へタイムスリップし、令和では考えられない“不適切”な言動を繰り返す小川市郎役で阿部、バラエティー番組のアシスタントプロデューサーとして働くシングルマザー・犬島渚役で仲が出演。
とあるアイドルに心酔するあまり、その身なり言動すべてを完コピする男“ムッチ先輩”こと秋津睦実を磯村勇斗、市郎と逆で、2024年から1986年に息子と共にタイムスリップする社会学者の向坂サカエを吉田羊、そして、市郎の一人娘・小川純子を河合、サカエの息子・向坂キヨシを坂元愛登が演じる他、袴田吉彦、山本耕史ら個性豊かな面々がストーリーを盛り上げる。
■バラエティー番組に純子が出場
今回は、昭和と令和のテレビ番組絡みのエピソードが展開。前回、令和にいた市郎が喫茶店の看板によじ登って、そこから転落したことで昭和に帰還したところで終わっていたが、何度も行き来しているからか、何事もなかったかのように昭和の自宅に帰ってきた。
バスタオルを巻いただけの姿の純子に市郎が「なんて格好してんだ、このメスゴリラ!」と注意するが、サカエの話を聞いて死んだんじゃないかと思ったりしていたから、「あぁあ、めんどくせーのが帰ってきちゃったよ」と言いながらも純子はどこかうれしそう。純子が「焼きうどん食べる?」と聞けば、「食べる。目玉焼きも。半熟だぞぉ」と市郎もうれしそうに答えるやりとりがほほ笑ましい。
そんな昭和で、ズッキー(秋山竜次)司会のバラエティー番組「早く寝ナイト チョメチョメしちゃうぞ」の挑戦者当選のお知らせを純子の友人たちが持ってきた。“3人1組の3チームで、体を張ったチョメチョメなクイズに挑戦する”というコーナーに、純子らが出ることとなった。未成年者は保護者同伴が必須なので、市郎が付き添うことに。
■ 令和の番組「プレサタ」出演者にスキャンダル発覚
一方、令和では渚がテレビ局に出社すると蜂の巣をつついたような騒ぎが。番組「プレミアムサタデー」のMC・堤ケンゴ(山本博)のアシスタントとの4股交際が発覚し、週刊誌にスクープされ、プロデューサーの栗田(山本耕史)らがその対応のために殺気立っていた。
ゲストコーナーに出演予定だった八嶋智人がMCの代役を快諾してくれたことで、第一関門をクリア。以前、海外ロケの飛行機をエコノミーからビジネスクラスにしてもらったことを恩義に感じての快諾だった。八嶋も「なんとかする男だから」と自信満々。
そして、八嶋は「頑張るからね」とスタジオに入るが、栗田は「頑張らないでください。爪痕を残そうなんてせず、そつなくこなしてください」と提言し、番組MCの不祥事が発覚し、放送後に報道されることも伝えた。
「打ち切りか続行か、あなたにかかってる」と、あたかもずっとMCだったかのように振る舞い、SNSもざわつかなければ、八嶋の勝利だと言ってお願いした。無茶なお願いだが、八嶋は「面白い。やりましょう!」と俄然乗り気。
八嶋はずっとMCだったかのように自然な振る舞いで番組を進行するが、栗田はコンプライアンスやハラスメントに対して過敏になり過ぎて、番組中に何度も謝罪させられてしまう。
■サカエ「自分の娘が好奇の目にさらされるのは許せないのね」
昭和では、純子らの付き添いで「早く寝ナイト チョメチョメしちゃうぞ」のスタジオにやってきた市郎とサカエ。純子らは「女子高生チーム」として参加し、「アダルト女優チーム」「オカマちゃんチーム」と対戦する。
企画内容の下品さに市郎は観覧席から思わず口出ししてしまうが、純子から「騒ぐなら帰って。普段はもっとエロいの見てるくせに」と言われて何も言い返せず。
今までなら、こういった番組のノリが大好きではしゃいでしまうところ、“けしからん”という気持ちを強く感じた市郎は、平成にいた間が長くなってコンプライアンスが芽生えてしまったのではないかと自分を疑い始めた。
葛藤しながら市郎は純子をやめさせようとするが、サカエに「金輪際アダルトビデオは見ないんですね?」と言われてしまう。「それとこれは別」と答える市郎に、「違わない。あの子たちにも親はいるのよ。他人の娘はやらしい目で見るクセに、自分の娘が好奇の目にさらされるのは許せないのね」と言い放つサカエ。
「偉いよね。求められる役目を誇りを持って果たしている」というサカエの言葉で、「そうだ。純子だけが娘じゃない。みんな誰かの娘なんだ」と目からウロコ状態に。
■市郎、昭和で気づいたことを令和で生かした
番組が終わるまでスキャンダルの報道を待ってもらう約束は破られ、番組放送中にMCのスキャンダルがネットで流れた。そんなタイミングで、タイムマシンの“バス”に乗って令和に到着した市郎。
栗田がスタジオ内で「誰が決めるハラスメント。ラブとハラは紙一重」と歌い、ミニスカートの女性、胸元が開いた服を着ている女性を例に挙げて、ハラスメントのガイドラインが曖昧だと訴える。
それに対して「みんな、自分の娘だと思えばいいんじゃないかな」と、市郎がズバッと提言。「みんな娘だと思えばいい。娘に言わないことは言わない。娘にしないことはしない。娘が悲しむことはしない。娘が喜ぶことをする。それが俺たちのガイドライン」だと。
昭和と令和を行き来する中で市郎が気づいたこと、気付かされたことが、どっちの世界にも当てはまる“ガイドライン”だった。市郎は昭和と令和の両方を経験したことでバランスの取れる人間になったということだろうか。
◆文=ザテレビジョンドラマ部