生まれ故郷に活気を取り戻すべく立ち上がった、石川県・加賀温泉の若女将からなるPR集団「レディー・カガ」。結成から約13年のときを経て、このプロジェクトから着想を得て企画された映画「レディ加賀」が2月9日に公開された。制作陣による令和6年能登半島地震の被災地支援に関する宣言も含め、心温まるエピソードの多い本作の見どころに迫る。

■夢破れた若女将が奮闘するハートフルストーリー

物語の舞台は、石川県にある名湯・加賀温泉の老舗温泉旅館「ひぐち」。同旅館の1人娘である樋口由香(小芝風花)は、小学生のときに見たタップダンスの美しさに心を奪われた。やがてタップダンサーを志して上京を果たすのだが、現実は厳しい。「大人になって知った。叶わない夢もあるのだと…」哀愁ただよう由香のナレーションのとおり、彼女は夢破れて地元へ帰ることに。

泣く泣く戻った実家の老舗旅館で、若女将として修行を始めた由香。しかしもともとの不器用さがたたり、何をやっても上手くいかずに苦戦するばかり。「中途半端なことしかできないやつが、女将になんてなれるわけないだろ」周りに叱責されながらも奮闘していた由香だったが、あるとき加賀温泉に関わる危機が舞い込んでくる。

そこで由香は、新米女将達を集めてタップダンスのイベントを主催することを決める。不器用な由香が主催するイベントは果たして上手くいくのか…。

■北陸に縁深い作品として、温かなエピソードも話題に

「レディ加賀」で主演を務めるのは、バラエティーやドラマ、映画、CMに引っ張りだこの女優・小芝風花だ。彼女が演じる主人公・由香は生まれ故郷を盛り上げるべく、不器用ながらも持ち前の明るさや芯の強さで奮闘するという小芝のイメージにぴったりな役。底抜けに明るい笑顔と、パフォーマンス中に見せる真剣な表情のギャップがすさまじい。

脇を固めるのは「仮面ライダーエグゼイド」や実写版「賭ケグルイ」で話題を集めた松田るか、「緊急取調室」シリーズやバラエティ番組「ゴッドタン」に出演経験のある中村静香、映画「花束みたいな恋をした」やドラマ「フェルマーの料理」などいま勢いのある八木アリサといったフレッシュなキャスト陣だ。

また本作でメガホンを取ったのは、雑賀俊朗監督。2013年公開「リトルマエストラ」、2016年公開の「カノン」など北陸を舞台にした映画を多数手がけており、「レディ加賀」も石川が舞台と、とりわけ北陸に縁が深い監督として知られている。

そんな縁もあってか、令和6年能登半島地震が発生した際は制作陣からいち早く復興支援の表明が。本作の配給収入の一部(5%)を、義援金として石川県へ寄付するという。これまでの作品で縁を紡いできた北陸へエールを送る、粋な計らいが話題になった。

同作は2月9日より全国の映画館で上映中。