Snow Manの岩本照が主演を務める、オシドラサタデー「恋する警護24時」(毎週土曜夜11:00-11:30、テレビ朝日系)。同作は、金子ありさ氏が脚本を担当するオリジナルドラマ。過去の事件を追う無骨なボディーガードが、命を狙われている負けず嫌いな弁護士を24時間警護することになり、相性最悪の2人が反目しながらも一つ屋根の下で暮らすことに。事件の謎を追う考察あり、アクションあり、そしてラブありの“考察系アクション・ラブコメディー”となっている。

今回WEBザテレビジョンでは、今作を手掛ける神田プロデューサーにインタビューを実施。キャストの魅力や裏側を語ってもらった。

■「スタントの方に吹き替えてもらえないくらい接近した肉弾戦のアクションができるなと」

――「恋する警護24時」を制作した理由を教えてください。

脚本の金子ありささんと作品をご一緒したいと思い「初めまして、こんにちは」と、1本電話をかけたところから始まったと思います。

「どんな作品でご一緒出来ますかね」「どんな時期に何がいいかな」とお茶をしながら打ち合わせして、せっかくならオリジナルがやりたいねという話になりました。そこにストームレーベルズの尾花プロデューサーが加わってくださり、いろいろと企画を練っていきました。

その中で出てきたのがラブコメ。ですが、金子さん、尾花Pと話す中で単なるラブコメではないものを作ろうとなりました。韓国ドラマには、入口はラブコメのテイストなのにだんだんと登場人物それぞれが抱えている苦しみや過去、事件が出てきて、それらが膨らんでいきつつ愛が深まっていくものが多くあり、そういった構成の連ドラも面白いよねと。

それを岩本さんにやっていただきたい。そして岩本さんにやっていただくならアクションを足した方がより面白いだろうと思い、「よしこれだ!」と決まりました。企画出しではさまざまなタイプの案が出ていたのですが、巡り巡って一番岩本さんにぴったりの企画に決定したのではないかと思っています。

――岩本さんありきで、今回の方向性が決まったのですね。

岩本さんが来てくださるのであればアクションがやりたいという思いもありましたし、岩本さんなら、スタントの方に吹き替えてもらえないくらい接近した肉弾戦のアクションができるのではと思ったので、ご本人にやっていただく前提で手数の多いアクションにこだわり、アクションコーディネーターの方に動きを考えてもらいました。

――主演の岩本さんの起用理由はどういったところだったのでしょうか?

前から岩本さんってすごく面白い方だと思っていて。振り付けもなさるし、演出もなさるし、佇まいや存在感、顔立ちも含めて目を引くと感じていました。この方に主演していただけたら、個性を持ったフワフワしない作品が作れるのではないか、地に足のついた作品がこの方と一緒に作れるんじゃないかと興味を持っていたんです。

きっと、私だけではなく、俳優としての岩本さんに興味を持っているプロデューサーは各局にいると個人的に思っています。他局に行ってしまうかも…と思いながら企画の準備を進めていたので、最終的にいらしてもらえることになった時はとてもうれしかったことを覚えています。

■「ただ強い男の子に守られる女の子にはしたくなかった」

――ヒロインを務める白石麻衣さんの起用理由はいかがでしょうか?

白石さんに対してはクールビューティーのイメージがあったのですが、そんな白石さんがコメディエンヌっぷりを発揮したらきっと面白いと思ったんです。

そして、私がこの作品を作るにあたって、ただ強い男の子に守られる女の子にはしたくなかったといいますか。令和を頑張って生きている女性たちって、みんなちゃんと強いと思うんです。自分がどうしたいのか、どんなことを頑張りたいのか、周りに気を使いながらも頑張っている子がたくさんいると思って。

凛としていて、芯の通った強さを感じられて、だけどちょっとドジだったり弱かったりダメなところもあるのが、等身大の女性像かなと感じたんですよね。

里夏を弁護士という設定にしたのも、岩本さん演じる辰之助に守られるだけではなく、愛する相手がピンチの時には支えることができるようにという思いからでした。守られる女性でありながらも頼りになり、でもちょっと抜けているといった人物像を作りたいと思った時に、白石さんの凛としているところと、さっぱりしているけれどかわいらしいところが里夏にぴったりだなと感じてお願いすることにしました。

――振り切ったコメディエンヌっぷりを発揮された白石さんが話題になっていましたよね。

「しっ!!」の撮影の時、ご本人も笑っちゃってました(笑)。

実は、脚本の金子さんが、白石さん含めスタッフも「里夏がどういうキャラクターなのかが分かりやすい方がいいだろう」と、ガイドになるように動作もシナリオに書いてくださっていて。1話でキャラクターがはっきりと見えたので、最終的には白石さんも自信を持って里夏を演じてくださっていました。

――シナリオの段階で、キャラクターの動作まで出来上がっていたんですね。

ボディーガードって、ともすると何もしていないように見えるんですよ。じっと立っている辰之助に対して「この人、何やってるんだろう?」となりかねなくて。

里夏の動きやコメントに対して辰之助がどう反応するかを見せたかったので、彼女をあれくらい思っている事をぶち込むキャラクターにしたことで、辰之助の素の部分がちらっと見える上手い形にまとまったのかなと思います。

そして、今回演出をしてくださった鈴木監督も、本来はここまでカットを割る方ではないんです。でも、「辰之助がどんな反応をしているのか、せっかく岩本くんが細かく芝居してくれているから」とかなりカットを割り、前半戦の里夏と言い合うようなシーンでは、里夏の煽る表情に対しての“それでも無表情!”や、ちょっとさすがにイラっとしているといった表情など、細かく辰之助の顔を切り返しで押さえられるように撮影してくださいました。

後半戦は、里夏に対しても素の表情を見せるようになりましたし、湊たち仲間といる時と仕事をしている時の表情の差など、そういったメリハリが上手につき、視聴者の方にも分かりやすくキャラクター性を受け入れてもらえたのではないかと思っています。

■「華がある」藤原丈一郎、バランスとして絶対に来てほしかった今野浩喜など、キャスティングのこだわりも

――藤原丈一郎さんや溝端淳平さんなど、周りを固める俳優陣のキャスティングのこだわりについても教えてください。

藤原さんに関しては、金子さんが脚本を担当されていた「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」(2023年、TBS系)での芝居を見て「こんなに上手なのか」と思い、お声がけしました。スケジュールをなんとか切り出して来てくださってうれしかったです。

藤原さんって、画面に映っただけでも明るくなるというか、華があるんですよね。湊はお坊ちゃんなのに抱えているものがあるという役柄ですが、それも含めてとても上手に演じてくださっています。社員寮の中のワチャワチャ感に関しては、湊ひとりで何人か分の役割を果たしてくれる効果があったなと思います。

今野浩喜さんについても、実はバランスとして絶対に来てほしいと思っていて、マネージャーさんに「スケジュール空いてますか?」と聞き続けていました。なので「何の役かは分からないけどオファーは来るぞ…?」と待ち構えてくださっていたのではないかと思います(笑)。

溝端淳平さんには、恋のライバルをやってもらいたい。そして、辰之助とは少しキャラクターが違うタイプにしたいと思っていました。さらに、優しいイケメンに見えるけれど、豹変するとドスが効くという部分などをいろいろ考えた結果、溝端さんにお願いできてとても良かったです。

■岩本照は「熊のようなおじさんたちに囲まれています(笑)」

――岩本さんの現場での様子はいかがですか?

岩本さんは、誰に対しても一定で、とてもフェアな方という印象です。

そして、座長としてドンと構えてくださっているので、揺るぎない信頼感を持てる人です。この座長についていけば大丈夫だとスタッフみんなが安心できますし、この座長のため、この作品のためにもっと頑張りたいとスタッフが思う現場です。それは、岩本さんらしさで現場を包んでくださっていたからだと思います。

そして、背の高い鈴木監督やカメラマンの高田さんなど、おじさんスタッフたちがみんな岩本さんのことが大好きで…。熊のようなおじさんたちに囲まれている岩本さんの姿を、皆さんにもお見せしたいくらいです(笑)。

やはり男性陣はかっこいいものにときめくんでしょうね。岩本さんのことがかっこよくて大好きで仕方ない!というおじさんたちが現場にあふれ返っています。私はそれを遠目で見ながらほほ笑ましく思っていました。

辰之助をかっこよく見せたい、辰之助が繰り出すキュンを撮りたいとおじさんスタッフたちが辰之助に群がって「こうかな?」「ああかな?」と試行錯誤するのが常でした。時々、岩本さんに「ちょっと待って、近くない!?」と言われていましたね。

――現場全体の雰囲気はいかがでしょう?

プロデューサーになってからいろいろな作品に関わってきましたが、こんなに現場に行くのが日々楽しい作品はなかなか無いです。

キャストの皆さんもとても親切で、松下由樹さんや小野武彦さんをはじめ、大人の俳優さんたちがすごく胸を貸してくださっていて。同時に、若者たちの誠実さや一生懸命さも見ていて伝わってきますし、それに対するベテラン俳優陣の優しさが、現場を守ってくれていたと感じています。

■「私があなたを守ります」と言える里夏がとても好き

――神田Pが特にお気に入りのシーンやせりふはありますか?

たくさんありますが、第6話が特に好きです。

里夏の「私があなたを守ります」というせりふがあるのですが、やはり里夏をただ守られるだけの女の子にはしたくなかったということもあり、それを辰之助に向かって言える里夏がとても好きでした。そして、そんな里夏に「あなたに一任します」と伝える辰之助。絶対的な信頼感を持てる相手との会話にすごくキュンとしましたし、泣けましたね。

今作は決してイチャコラするタイプのラブコメではないので、視聴者の方の中には物足りない方もいらっしゃるかもしれませんが、脚本の金子さんもとてもこだわっていらした、心の底から相手を思いやる気持ち、目に見えない恋模様こそが大事ということが実感できるシーンではないかと思います。

――ついに最終回を迎えますが、見どころを教えてください。

ラブコメなので、ラブが最終的にどうなるかをぜひ見ていただきたいのがひとつ。そして、辰之助が長い時間をかけて追いかけてきた事件について、逆に漆原がどうしてここまでの執着を持っているかというところも表現したいと思っています。

漆原は自分の育った家に不満があり、なりたい自分の像もあり、それをとんでもない方法を使って手に入れて。彼は、がむしゃらに手に入れた理想の人生を失いたくないと、そこに対する執着心が非常に強いんです。その強さがゆえにさらなる悲劇を生んでしまうという展開にはなるものの、人生と人生のぶつかり合いのようなものは描きたいなと考えています。

「勧善懲悪!」というよりは、見終わった後に何かがチクッと残り、想像を膨らませられるような最後になったらいいなと思いながら作りました。

そして、最終的にはいろんなことが決着しながら未来に向かって元気が出る、明日も頑張ろうと思えるような作品になっていると思いますので、最後まで一緒に楽しく見ていただけたらうれしいです。