畑芽育が主演を務めるドラマNEXT「パティスリーMON」(毎週水曜深夜0:30-1:00ほか、テレ東系ほか)が、ついに3月27日(水)放送で最終回を迎える。(※最終回は深夜0:40から放送)

同作は、フランス洋菓子店が舞台の“あまキュン”ラブストーリー。趣味のお菓子作りをきっかけに「パティスリーMON」で働くことになった主人公・山崎音女(畑)が、オーナーシェフの大門勇(濵田崇裕)や初恋の相手・土屋幸平(中川大輔)らパティシエ仲間たちとの仕事を通して、人間としても成長していく姿を描く。

このたび、WEBザテレビジョンでは同作のプロデューサー・河原瑶氏にインタビューを実施。キャスト陣のオファー理由や、撮影の裏話などについて聞いた。

■あんなにキラキラした感じを持っている役者さんってあんまりいないなって

――今作では畑さん、濵田さん、中川さんがメインキャストとして出演されていますが、3人を起用した理由を教えてください。

まず、芽育ちゃんは前々から注目していて、何度かオファーさせていただいていたんですけど、なかなかスケジュールが合わなくて、ご一緒できなかったんです。芽育ちゃんって今21歳ですけど、あんなにキラキラした感じを持っている役者さんってあんまりいないなって思っていて。そんな中、今回「パティスリーMON」をやらせていただくことになって、芽育ちゃんが役にピッタリだなと思ったのでオファーさせていただきました。

濵田くんはヒロインの相手役になるのですが、大門はキラキラした王子様みたいな役ではなく、ちょっとクールな泥臭い役というか、恋愛を背負ってない役どころだったので、あんまり恋愛のイメージがなくて、“この人恋愛ドラマやるんだ!”って思えるような人を探していて。それで、濵田くんってバラエティーによく出ていらっしゃって、もちろんドラマも出ていらっしゃるけど恋愛ドラマを見たことがなかったので、“面白い化学反応になるんじゃないかな?”と思ったのがきっかけです。

逆に中川くんのツッチー(土屋)という役はすごく王子様キャラでキラキラしているんですけど、ただキラキラしているだけじゃダメで、ちょっと弱さが必要な役なんです。そう考えたときに、中川くんは身長も高くて顔も小さくて、でもちょっとはかなげに見える感じがピッタリかなと思ったのでオファーさせていただきました。

■役者の皆さんにとってもですが、私にとってもすごく貴重な機会だったなと思います

――本作の舞台はフランス洋菓子店ということで、おいしそうなスイーツがたくさん登場していますよね。原作者のきらさんも「白黒の紙の上では表現しきれなかった色とりどりのケーキたちがどのように再現されるのか、とてもワクワクしています」とコメントされていましたが、ケーキなどのスイーツに関して特にこだわった部分を教えていただけますか?

スイーツの部分に関しては辻調理師専門学校 の先生が監修に入ってくださっているんですけど、本当に何回打ち合わせするんだっていうくらい打ち合わせを重ねました。ケーキってお店にもよると思いますけど、基本はショートケーキの白とか、タルトの茶色とか、チョコレートのダークブラウンとかが多いんですよね。でもドラマで見るからにはカラフルで発色のいいやつがほしいっていう話をしていて、しかも15列ぐらいしか並べられないショーケースの限られたスペースに、どうやって1枚の画でスペシャルな感じに見せるかっていうのを結構話し合って。

私はお菓子作りが素人なので、先生たちの苦労を全くわかってないんですけど(笑)。でも言うだけはタダだろうと思って、何度も打ち合わせをさせていただきました。その結果、黄色やピンクなどのカラフルなケーキを作っていただいて、先生たちには本当に感謝しかないです。イメージ以上のものが出来上がりましたね。

――本作ではキャストの皆さんも撮影前からケーキ作りを練習したりして、畑さんも「カスタード作りで腕が痛くなった」とおっしゃっていましたが、皆さんが作っている姿をご覧になっていかがでしたか?

まず、濵田くんが演じる役がオーナーシェフで一番うまくないといけないので、一番初めに練習を始めました。最初は器具の名前から教わって、混ぜ方などの基礎から始まり、徐々にクリームの塗り方などをやっていったんですけど、最後の練習の日にMONのメンバーが全員そろったんです。なので、その日にみんなで実際にケーキを作ってみることになって。

それぞれの役に合ったケーキ作りを1日かけてやったのですが、やっぱり濵田くんが作ったケーキが一番きれいだったんです。もしかしたらたまたまかもしれないですが、そのときに“あ、MONってこんな感じか”って思えて。役者の皆さんにとってもですが、私にとってもあれはすごく貴重な機会だったなと思います。

芽育ちゃんが言っていたように、カスタードを作るのもすごく大変なんですよね。3リットルの牛乳と、34個くらいの卵を使って作っているので、見ている以上に大変で、1分混ぜていると本当に腕がパンパンになるんです。

しかもずっと火にかけていたらそこまで硬くならないんですけど、撮影しているときは音がうるさいので火をいちいち止めないといけなくて、そうするとカスタードが硬くなっちゃうんです。なので、より抵抗があるものを混ぜていたので、あれを混ぜながらお芝居するのはすごく大変だっただろうなと思います。

ちなみに、中川くんは以前記者会見で「お菓子を作るとしたら、誰にどんなスイーツを食べさせたい?」という質問に「ドラマのスタッフに手作りお菓子を差し入れしたい」と答えていたのですが、クランクアップの1日前くらいに本当にクッキーを作ってきてくれたんです。すごくおいしくて、スタッフみんなでいただきました。

■一点をぼーっと見ているだけでちょっと切ない顔に見えるっていう(笑)

――実際に現場でキャストの皆さんの演技を見ていかがでしたか?

芽育ちゃんに関しては、ずっと好きで見ていたのですが、想像以上に目がキラキラしていて(笑)。かわいいなぁと思いながら見ていますが、すごくお芝居もしっかりしているし、いちいち細かいことを言わなくても全部わかってやってくれるのでとても助かりました。

濵田くんはギャップを意識したというか、本人の気質はパティシエ練習などで実際会ってわかったので、その濵田くんが大門としてこういう表情をするっていうのをうまく出せればいいなと思いました。前半はあまり笑わないタイプの役だったのですが、実際の濵田くんは“にか〜”っと笑うので、その“にか〜”っと笑う表情の出しどころは計算をして入れていった感じですね。

中川くんは“完璧な王子様”みたいな役だけど、もともと雰囲気がちょっとホワッとしているので、その雰囲気を大事にしつつできればと思ったのですが、なんかその雰囲気に助けられたというか、一点をぼーっと見ているだけでちょっと切ない顔に見えるっていう(笑)。別に本人はぼーっと見てないんですけどね(笑)。でも、“切なく見える表情を持つ子だな”と思ったので、それをうまく有効活用できたらなと思って、ここぞというところに入れていきました。

――濵田さんは本作が恋愛ドラマ初挑戦とのことでしたが、しぐさや表情などの演技で苦労はなかったのでしょうか?

できるときとできないときの差が激しいというか、“このシーンは結構クールな感じで落ち着いてやりたい”って思っていても、すごくテンションが高いお芝居で作ってきていたりしたこともありました。でも「こうなんだよ」って説明したら「わかりました!」って言ってすぐやってくれて。

本人もよく笑っていたのですが、ラブストーリーだと大事な部分でスローモーションになるので、「ドラマだとここスローモーションになるから、もうちょっとゆっくり動いて」って話すと「なるほど!」って言ってやってくれたりして、全部素直に受け取って演じてくれていましたね。

――パース・ナクンさん演じる梅ちゃんもすごくいい味を出していますよね。

そうですね。梅ちゃんの役はオーディションをさせていただいたんですけど、パースくんはすごく日本語がうまくて。今ドラマで見ているよりも、本人はもっとうまいんですよ。それで、オーディションでお芝居をちょっとやってもらったときに「もうちょっと日本語下手にできたりする?」って聞いたらちょっと難しそうにやっていて(笑)。

でも最初に見たときに「あ、梅ちゃんだ!」って思っていたので、私の中ではパースくんにお願いするのを決めていたんですけど、オーディション結果の連絡を2日くらい待たせちゃっていたんですね。そしたらマネジャーさんに「僕は日本語がうますぎるから落ちるんだ」って言っていたらしくて(笑)。とってもかわいい子ですよね。現場もあの感じなので、みんなすごく癒やされています。

■全12話の中で一番のキュンキュンが詰まっている

――濵田さんのお誕生日を皆さんでお祝いする様子などもSNSに上がっていましたが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

すごく和気あいあいとしていましたね。毎日現場にお菓子があったので、終わったらみんなで取り合いしたりして(笑)。楽しくてすてきな環境でした。

濵田くんのお誕生日は、スタッフと「誕生日来るね」って話をしていたんですけど、監修の先生がいるのに他のところのケーキを買ってくるわけにはいかないよねって(笑)。でも先生すごくお忙しいので、ケーキを作ってくれとはストレートに頼めなくて…。

なので「先生、実は濵田くんが誕生日なんですよね」ってちらっと伝えたら「じゃあ私ケーキ作りますよ」って言ってくださって。「何が好きかな?」って言ってリサーチしてくれて、チョコレートが好きだってわかったのでチョコレートケーキを作ってくださいました。

そのチョコレートケーキも、中に何が入っているのかわからないくらい、ただのチョコレートケーキじゃなくて本当においしかったです。ケーキのプレートは、誰が発案したのかわからないですが共演者の皆さんが一言ずつ書いていたりしていて、中川くんの誕生日のときも同じようにやっていたのですが、とてもすてきだなと思いました。

――濵田さんもチョコレートケーキについて「人生で一番おいしかった」って絶賛されていましたよね。

本当にあれだけじゃなくて、作るケーキが全部おいしいんですよ。芽育ちゃんはバナーヌっていうケーキがすごく好きなんですけど、売り物じゃないからこのドラマが終わったら食べられないじゃないですか。なので先生にレシピを聞いてました。でも結構難しいらしくて「結構面倒くさいよ?」って言われながら「頑張る!」って言って聞いてましたね。

公式SNSでケーキのレシピをいくつか公開しているのですが、そのレシピを見て視聴者の方たちも実際にケーキを作ったりしているみたいで、すごいなぁって思いながら見ています。バナーヌのレシピが出るかどうかはわからないですが、ぜひ挑戦してみてほしいですね。

――最終回に向けての見どころや、注目してほしい部分を教えてください。

最終回はネタバレとかではなく、ハッピーエンドです。ただ、どうハッピーエンドになっていくかというところで皆さんドキドキ、ワクワクしていると思うんですけど、富士急ハイランドで撮影したシーンがあるんですね。そこがとてもきれいなシーンになっているので、内容は言えないですが、ぜひ放送を見ていただきたいです。

全12話の中で一番のキュンキュンが詰まっているので、皆さんに楽しんでいただければと思います。

※辻調理師専門学校の「辻」は一点しんにょうが正式表記