テレビアニメ「戦隊大失格」(毎週日曜昼4:30-5:00、TBS系/ディズニープラスで全話独占見放題配信)の第2話「進め! 戦闘員D!」が、4月14日に放送・配信。ヒーロー側がヴィラン的に描かれる、ある種“アンチヒーローものの真髄”な展開にゾクゾクし、思わず引き込まれてしまった。(以下、ネタバレを含みます)

■「戦隊大失格」とは

同作は、「五等分の花嫁」の春場ねぎ氏による同名コミックを「TIGER & BUNNY」「いぬやしき」を手掛けたさとうけいいち監督が、アニメーション制作会社Yostar Picturesの制作によって、圧倒的な映像の美しさと迫力で独特な世界観を表現したアニメ。13年前に突如始まった怪人と大戦隊との存亡をかけた戦い。しかし、実はこの戦いは茶番劇で、とうの昔にアジトは陥落し、怪人の幹部たちも全滅。なぜか下っ端の戦闘員ダスターズだけが生き残ったのだが、大戦隊と結ばされた約束の協定「毎週末、地上侵攻し、敗れ散る」を延々と繰り返している。この“負け続ける”人生に、やさぐれた戦闘員D(CV:小林裕介)が立ち上がる…という物語が展開される。

第1話で、“協定”に反して戦隊に歯向かった戦闘員D。結局は敗れ散ったのだが、竜神戦隊ドラゴンキーパーのレッドであるレッドキーパーは、怪人側に不信感を抱くようになってしまった。取った策は、怪人たちがいる“浮遊城”にブルー部隊を常駐させるということ。常に監視下に置き、歯向かったり、よからぬことを企てることを未然に防ぐというのが目的だ。

浮遊城に戻っていない戦闘員Dは、そんな状況になっているとはつゆ知らず、独自の作戦を実行していた。戦闘員Dがレッドキーパーに歯向かう前、Dが戦闘員ダスターズの一員だと知らずに、大戦隊イエロー部隊所属の戦闘員・錫切夢子(CV:矢野優美華)と白い衣装の謎めいた戦闘員・桜間日々輝(CV:梶田大嗣)がDに大戦隊への加入を勧めるという出来事があった。「その手があったか!」と言わんばかりに、Dは大戦隊の試験を受け、内部から大戦隊を崩壊させるという計画を思いついた。

Dは戦闘員としての誇りがあり、大戦隊をいつか倒してやるという野望も持ち続けている。そんなDの真の目的は、怪人の幹部たちが殲滅させられた日にあの場所にいた5人=ドラゴンキーパーを倒すこと。

戦隊の本部に正面から乗り込んだDだが、受付で聞いてみると「ここにはいません、ドラゴンキーパーは」という返答が。そんなタイミングで、再び夢子と日々輝に遭遇する。

自分が勧めた入隊試験に来てくれたことがうれしくて日々輝は過剰なスキンシップでDを歓迎するが、「戦闘員の体は地上人と比べてもろい」という弱点が明かされた。頬をすりすりする日々輝のせいで、肌が崩壊寸前になり、夢子にバレそうになってしまう。

その後、夢子たちに昼食を誘われ、一緒に食事をするD。その時に夢子がこれから「レッド駐屯地」に手紙を渡しにいくことが分かり、日々輝はそこに行かないということなので、得意の擬態で日々輝になりすましたDが、夢子と共にレッド駐屯地へ。

(日々輝になりすました)Dの腰のポーチには食事をしたレストランから拝借したナイフが入っている。レッドキーパーと遭遇した時にそれで切りつける腹積りだ。しかし問題が。それはDがレッドキーパーの素顔を知らないということ。危うく違うレッドにナイフを向けてしまうところだったが、間一髪、夢子の言葉で人違いだと気付く。

その後、戻る途中で正真正銘のレッドキーパー/赤刎創星と遭遇するが、いきなりのことに硬直してしまう。この時も夢子が機転を利かせて「桜間君、憧れの人に会えたからって興奮しちゃダメでしょ」と言って、Dをレッドキーパーから遠ざけた。

■夢子には“擬態”がバレていた

場所を移動したところで夢子がDに言った言葉が、「冷や汗出たよ。いきなり赤刎創星に話し掛けるんだから。ま、いっか。ナイフ出して」だった。なんと、夢子は早々にDの擬態&目論見に気付いていたようだ。ここでコテンパンに夢子にやられてしまうのだが、夢子はDに「手を組もう。私と君で。私だったら教えてあげられるよ、大戦隊の倒し方」と、意味不明なお願いをされてしまう。

日々輝も謎めいているが、夢子も謎多き人物だった。Dに「手を組もう」と提案したところを見ると、Dにとって敵ではない、あるいは大戦隊に対して何らかの憎しみを持っているのかもしれない。今回はDを泳がせておいて、最後にタネ明かしをし、結果的にDを精神的にも支配する感じになったが、かなり恐ろしい人物なのではなかろうか…。

今回分かったのは、夢子が純粋に大戦隊側の人間というわけではないということ。そして、大戦隊側は浮遊城に監視を置いて、下っ端戦闘員(怪人)たちを押さえつけようとする悪い(怖い)ところがあるということ。正義の味方だが、ヴィラン的な描かれ方をされているのが気になった。それに、茶番劇と化している「日曜決戦」では、ダスターズやダスターズが擬態した怪人を切り倒しても何度も復活することができるが、“神具”という武器を使うと完全に怪人の息の根を止めることができるということ。Dの目の前で、仲間思いの戦闘員Fがレッドに神具で切られる場面は、見ている側の胸も痛んだ。

SNSには「ヒーローがヴィラン的なポジションにいるのは、アンチヒーローものの真髄だな」「ギャグ路線の作品かと思ったら、意外と真面目なシーンもあって、ヒーローの性格の悪さも面白い」「思ってた以上に奥が深いというか、闇が深そうな感じがしてて、今後の展開が楽しみになってきた」などの声が寄せられている。

◆文=田中隆信