今では両チームとも海外組が中心に

メキシコ、カナダとの共催で行う2026北中米ワールドカップへ向けて代表チームの強化に力を入れてきたアメリカ代表。彼らの成長を感じさせる要素の1つに、『欧州組の増加』が挙げられる。

例えば昨年3月の代表戦では、国内のMLSから1人も招集されなかったのだ。唯一アトランタ・ユナイテッドからDFマイルズ・ロビンソンがトレーニングキャンプに参加したが、試合のメンバーには入っていない。『ESPN』によれば、これは今のMLSがスタートした1996年以降では初めての出来事だという。

現在はミランでプレイするFWクリスティアン・プリシッチ、MFユヌス・ムサ、ユヴェントスMFウェストン・マッケニー、FWティモシー・ウェア、レアル・ベティスMFジョニー・カルドーゾ、ボーンマスMFタイラー・アダムズ、PSVのFWリカルド・ペピ、マリク・ティルマンなど、欧州トップクラブでプレイする選手が激増している。

この変化について、同メディアが似ている国に挙げたのが日本だ。日本も近年は海外組を中心に代表チームが構成されているが、選手の育成にはJリーグの各クラブが大きな役割を果たしている。アメリカも同じで、MLSのアカデミーやトップチームで経験を積んでから欧州へ向かう者が多い。欧州組が増えているのは、MLSの育成が機能している証拠でもある。

かつて日立製作所サッカー部(現柏レイソル)でプレイし、日本サッカーの発展に貢献したトム・バイヤー氏はJリーグの貢献度について次のようにコメントしている。

「日本の場合は代表チームの大半が欧州のクラブでプレイしているが、(海外組の)ベストプレイヤーとJリーグのベストプレイヤーとの実力差がそこまで大きくない。Jリーグでプロとして一定の試合数をこなさないまま、いきなり欧州に渡ってプレイする日本人選手もほとんどいない」

MLSの質を上げ、より優れた逸材を欧州トップリーグへ送り込む。これがアメリカ代表が世界の強豪となるうえでベストな方法なのだろう。そこは日本と似たところがあると言うこともでき、アメリカサッカー界はMLSでの育成に一定の手応えを掴んでいるようだ。