がん治療の早期発見に「役立つ」として「PET-CT検査」が注目されています。メリットや課題を「PET-CT検査」の“先駆け”といわれる名古屋市千種区の施設で聞きました。

■注目される「PET-CT検査」…“先駆け”が名古屋に

 がんの早期発見に注目が集まっています。2024年2月末、お笑いコンビ・オズワルドの 畠中悠(はたなか・ゆう)さんが、 腎臓がんの手術を受けたことを明らかにしました。 2023年、「PET検査」を受けたところ腎臓に腫瘍が見つかり、その後の検査で初期の腎臓がんと診断されたということです。

「PET検査」とは、がん細胞が正常の細胞に比べ「多くのブドウ糖を取り込む」という性質を利用して、ブドウ糖を含む薬剤を体内に投与し、専用の機械で撮影します。 この薬が多く集まる場所を突き止めて、体内に潜むがんを見つけ出すということです。

この「PET検査」と「CT検査」を組み合わせた「PET-CT検査」が全国的に注目を集めています。 名古屋市千種区の「東名古屋画像診断クリニック」は、全国の“先駆け”となったクリニックです。

東名古屋画像診断クリニックは「PET-CT検査」を中心にがん・脳・心疾患の早期発見を目指す画像診断専門のクリニックです。

東名古屋画像診断クリニックの岩田宏理事長: 「『PET-CT』という機械を使ってやり始めたのはうちが日本で初めて。愛媛とか、広島とか、埼玉、関東地方、東京からも何人か来ている」

海外で開発された「PET-CT」は、ブドウ糖を含む薬剤の動きとCTスキャンを組み合わせ、がんの位置や大きさを三次元的に探ることができます。

2004年、全国に先駆けて臨床検査に導入したといいます。

■小さながん細胞でも発見「PET-CT」の実力は

 岩田理事長によると頭から膝まで全身が一度にわかり、小さながんを発見するのに優れています。 岩田理事長: 「ここ光っていますよね。ここがすい臓がん。CTではわからないんです。大きさとしては1.5センチくらいなんですが、他の周りのリンパ腺とかにも転移がないし、この方は手術で救命ということです」

「初期」に当たる1センチ程度の小さながん細胞でも発見できる可能性が高いということです。

岩田理事長: 「PETの検査は早いうちから、小さなうちから所見が出る。早く見つければがんは怖い病気でも何でもない」

“沈黙の臓器” と言われる、すい臓がんでも同様です。 岩田理事長: 「背中が痛いと言ったときはもう、背中の骨に転移している状況で見つかることが多いので、早期に見つけるのが非常に難しい場所。うちも数年に一人くらいは早期のすい臓がんを見つけている」

■不向きな臓器や高いコストが課題

 メリットが多い「PET-CT」ですが、不向きな検査もあります。 岩田理事長: 「胃がんなんかは相当大きくならないとわからない場合もある。ご飯を食べたりするとそこが活発に動くので、本来薬が集まらなくていいところにも集まってしまうから」 普段から多くのブドウ糖が集まる「胃」の検査には不向きだということです。 また、岩田理事長は治療費が高額なことも課題だといいます。 岩田理事長: 「コストが高いというのもやはり問題ですね。 保険診療で3割負担の方が受けてだいたい3万円くらい。検診というレベルだと自費になるから、それだけで10万円超えてしまいます。受ける方がどれだけいるかというと難しいですよね」 岩田理事長は設備や薬剤の費用で、どうしても高額になると話していて、いかにコストを抑えるかを、日々模索しているということです。 こうした課題もありますが、「PET-CT」の臨床検査はいま、全国に普及し、がん治療の一翼を担っています。

岩田理事長: 「日本人の健康診断の受診率は40%くらいで非常に低い。みなさんにドックを受けてもらって、(がんを)早く見つけて死なない病気にしましょう」 岩田理事長によると「PET-CT検査」は万能ではないため、MRIなど複合的に検査をしてほしいということです。 2024年3月8日放送