経営危機に陥っていた、プロバスケットボールBリーグ2部(B2)青森ワッツの運営会社「青森スポーツクリエイション(ASC)」は23日、東京都に本社を置く資産管理会社「メルコグループ(G)」が新たなオーナー企業になったと発表した。約3800万円に上るASC社の債務超過は、メルコGや関連企業の資金投入で解消する方針。Bリーグは同日の理事会で、ASC社の経営健全化にめどが立った−などとして、継続審議となっていたワッツへの来季B2ライセンス交付を決定した。

 メルコGは上場企業の「メルコホールディングス(HD)」の株を過半数所有。メルコHDの子会社には無線LAN機器などを手がける「バッファロー」、麺類の製造・販売会社「シマダヤ」がある。ASC社の新社長にはバッファロー販売統括部長の渡邊裕介氏が就任予定。現社長の北谷稔行氏は退任し、取締役・ゼネラルマネージャーに就く。ASC社が23日、青森市内で記者会見を開き、新体制について発表した。

 ASC社を巡っては、昨年7月に約9割の株を取得し、筆頭株主として経営に参画していた「ANEW Holdings」が経営破綻。メルコGの冨谷英人財務部長によると、裁判所の承諾を経て、ANEW社の破産管財人から、同社が保有していたASC社の株を全て取得したという。

 ASC社への経営参画の経緯について、冨谷氏は、バッファローの取引先であるワッツのスポンサー企業から声がけがあった−と説明。メルコGが昨年、バレーボールVリーグ「VC長野トライデンツ」の経営に参画したことも要因に挙げた。今後の運営については「地域優先、地域に愛されるチームを作ることを心がけるが、無理な成長戦略をとるつもりはない。堅実な経営をする」と述べた。

 ホーム最終節を観戦したという渡邊氏は「ブースターの青色のユニフォームを見て、本当に地域に愛されるチームだと実感した。具体的な経営プランはまだ決まっていないが、地域に根ざしたワッツを盛り上げていく」と決意を語った。

 北谷氏は、多くの支援に感謝し「新生ワッツをお見せして、一人でも多くの方を笑顔にさせたい」と恩返しを誓った。ASC社は今後、株主総会などを経て新体制に移行する。