1929(昭和4)年に創業し、東北最古で国内でも4番目に古いとされる青森県弘前市の喫茶店「土手の珈琲屋 万茶ン(まんちゃん)」が7日、5代目店主の募集を始めた。前店主の退職により、昨年12月から休業しており、店を管理する朝日会館(同市)は店のホームページで「長きに渡る想(おも)いを受け継ぎ、新たな物語を紡いでくれる方を公募します」と呼びかけている。

 万茶ンは同市の商店街・土手町と繁華街・鍛冶町をつなぐ「かくみ小路」にあり、店前に置かれた半分のコントラバスがトレードマーク。創業当時からあるシャンデリアや、ぜんまい式掛け時計などが約100年の歴史を感じさせる。

 作家の太宰治や石坂洋次郎、画家の阿部合成ら著名人が好んで訪れたことでも知られる。店名には「何『万』人のお客さまに、お『茶』を差し上げて、お客さまにも店にも『ン(運)』がつくように」という意味が込められているという。

 新店主に求める人物像は「コーヒーやカフェ文化に情熱を持つ方」「地域社会に貢献し、人々を結ぶ場所を創(つく)りたい方」「独自のビジョンで万茶ンを次のステージへ導ける方」。応募は同ホームページで6月15日まで受け付ける。同会館の担当者は「弘前市内外にかかわらず、店を受け継ぎたいという方の応募をお待ちしている」と話している。