2022年8月の大雨でのり面が崩落した国道338号・むつ市脇野沢源藤城−佐井村野平間(18.2キロ)の通行止めが本年度も続いている。この区間は脇野沢地区と佐井村、大間町を結ぶ唯一の道路。観光面への影響や利便性の悪化が長期化していることから、地元では復旧工事の早期完了を望む声が聞かれる。道路を管理する県によると、工事は本年度内に終わり、来年春の冬季閉鎖解除後から通行できる見通し。

 10日、「通行止」の看板が取り付けられた脇野沢側のゲートを訪れると、後ろから県外ナンバーの車が1台到着。通行できないことを知り、引き返した。ここから佐井村方面や大間町方面へ向かうには、同市川内地区まで一度戻り、県道川内佐井線や県道長後川内線を通らなければならない。川内地区中心部に戻るだけで約30分はかかる。

 県下北地域県民局道路施設・高規格道路建設課によると、22年8月3日から12日にかけて続いた雨で、長さ約120メートル、高さ約20メートルにわたってのり面が崩落。8月11日から通行止めとした。

 この後、崩落箇所の山側に仮設道路を設ける工事を行い、冬季閉鎖解除後の23年4月25日から通行を再開したが、地盤が不安定だと判断し、5月23日から再び通行止めとした。

 23年度からは崩落箇所の復旧工事に着手。掘削・盛り土工事のほか、排水パイプを入れるなど排水能力の向上にも取り組んでいる。本年度からは、通行止めを知らせる看板を川内地区や大間町、佐井村などの沿道にも設置。迂回(うかい)路の周知に努めている。

 脇野沢側ゲートから約3キロ南にある「道の駅わきのさわ」を運営する市脇野沢農業振興公社の酒井一雄常務理事は「災害なので仕方ない」としつつ「売り上げへの影響はある」と話す。23年度の入館者数は約1万2800人と、19年度の約1万8千人と比べると約3割減。脇野沢港発着のむつ湾フェリーを利用するツアーバスの立ち寄りもなくなった。「コロナ禍が終わり、客足が戻ることを期待したが、そこまでではなかった。来年開通することを期待している」と語った。

 一方、ある観光事業者は「通行止めが直接の原因でキャンセルになったケースはないが、通行できればお客さまの利便性が担保されるのは確か。なぜここまで工事に時間がかかるのか」と疑問を口にした。

 同課の下川原茂樹課長は「不便をかけて大変申し訳なく思っている。安全に通行できるよう作業を進めているので、ご理解いただきたい」と取材に話した。