大阪杯2024

[GⅠ大阪杯=2024年3月31日(日曜)阪神競馬場、芝内2000メートル]

 GⅠ大阪杯を今週末に控え、栗東トレセンがにぎわっている。関東馬たちが大挙として栗東滞在調整をしている状況で、自身のオーラを半径2メートルに広げる念能力を持つ、関西本紙・松浪大樹記者が黙っているハズがなかった。次々と取材網に入ってきた関東馬たちの現状をねっこり取材すると“松浪eye”でスパッと料理…。その模様をご報告しよう。

【トレセン発秘話】先週末の段階で8頭もの馬が入厩していた木村厩舎は別格のような存在だが、それを除いても実に多い栗東滞在の関東馬。この大阪杯にもエピファニー、ハヤヤッコ、ルージュエヴァイユの3頭が栗東滞在組。おかげで仕事がまるで減らない。来週の桜花賞のように主役級が揃っているわけではないが、走らせてみないとわからないのが競馬だ。脇役であってもそれなりの扱いが必要だろう。

 豪雨とまでは呼べないまでも、単に雨と形容するのも悔しくなるほどに降った火曜日の朝。馬だけでなく、人のほうも栗東に移動していた。前走の小倉大賞典でエピファニーを重賞勝利へと導いた杉原。この悪天候の中で調教に乗っているというだけで印象はワンポイントアップだが、それだけでは終わらせずに話も聞いてみる。

「少し気持ちが高まっている気もしますが、このままの状態でレースに行ければ大丈夫でしょう。前走のようにペースが流れてくれるのが理想。でも、今回のメンバーで前回のペースでいくと1、2番手になってしまうかもしれない。僕の技術が問われますね(笑い)」

 今年の大阪杯で多くのファンを悩ませる要素の一つが展開。それはジョッキーであっても同じということだ。

 桜花賞に出走予定の若い牝馬に囲まれて、普段以上にやる気を見せているというハヤヤッコ。同じ中年男子として彼の気持ちはわからなくもない。「前走の勝ち馬(プログノーシス)は強かったですよね。川田くんがずっと乗り続けている馬。さすがという気がしました。この馬自身は常に安定して走ってくれていますよ」と田村助手。2度目の阪神といっても前回は3200メートルの天皇賞(春)。参考にならない気もするのだが、最後にポツリともらした「中京が合い過ぎる気もするんですよね」を聞けば、前走以上を期待するのは酷? 穴党を喜ばせる機会は次に持ち越しとの認識を持った。

 前走の京都記念は2番人気で8着。一気に評価が下がってしまったルージュエヴァイユだが、酒井助手によると「太め残りと京都の悪い馬場が影響した」と考えているようだ。前々走のエリザベス女王杯で2着に好走しているものの「あれはすごく上手に乗ってもらったレース。本質的に2200メートルは長いと思っているんです。2200メートルとマイル戦なら、マイルのほうがいいかなと感じるくらい」なら、200メートルの距離短縮はイメージ以上の歓迎材料となりそう。スローペースが濃厚な一戦。内枠を引いての瞬発力勝負なら一発があるかもしれない。

栗東滞在中のルージュエヴァイユ(右)。桜花賞出走のアスコリピチェーノに先輩の意地を見せられるか
栗東滞在中のルージュエヴァイユ(右)。桜花賞出走のアスコリピチェーノに先輩の意地を見せられるか

著者:松浪 大樹