アドマイヤベルが重賞初Vでオークス切符
アドマイヤベルが重賞初Vでオークス切符

フローラステークス2024

[GⅡフローラステークス(オークストライアル)=2024年4月21日(日曜)3歳牝、東京競馬場・芝2000メートル]

 21日、東京競馬場で行われたオークスTR・第59回GⅡフローラS(芝2000メートル)は好位追走から直線で力強く伸びた横山武騎乗の2番人気アドマイヤベル(加藤征)が優勝。インから脚を伸ばした2着ラヴァンダまでが牝馬クラシック第2弾・GⅠオークス(5月19日、東京芝2400メートル)の優先出走権を獲得した。〝主役級不在〟のトライアル組は果たして本番でも好走できるのか?

 1勝馬が上位人気を集める構図は今年も同じ。典型的な〝人気先行タイプ〟はGⅢフラワーCなど牝馬限定重賞を勝ち切れなかった組だが、同じ1勝馬であっても格以上にキャリアに厚みがあるアドマイヤベルを同列には扱えない。過去3戦(1、3、2着)はすべてが牡馬相手で百日草特別の勝ち馬は後にGⅠ皐月賞4着のアーバンシック。フリージア賞も今週末のGⅡ青葉賞で有力視されるマーシャルポイントとクビ差接戦だから、そもそものポテンシャルが牡馬クラシック通用級の見立ても可能だ。

 しかし、素質は上位であっても実戦で能力を発揮できなければオークス切符を手にすることはできない。まずは2か月ぶりの実戦というハードルを細心仕上げでクリア。「1週前にしっかりと負荷をかけて、最終追い切りはサラッと。カイ食いが上がることなく、いい状態で臨めました」と管理する加藤征調教師は納得のいくデキに胸を張った。そして実戦でのバトンを託された横山武も事前に策定したミッションを見事に遂行してみせた。

「このレースのデータとして、開幕週なのでどんな流れでも5番手以内は欲しい。それでいて前に馬を置くこと」が加藤征調教師と横山武が練り上げた事前プラン。ほぼ、予定通りの位置を確保すると絶好の手応えのまま直線へ。先行勢の追い出しを待ってからゴーサインが送られると一完歩ごとに力強く加速。残り100メートルで先頭に立つと、インから抜け出してきたラヴァンダに1馬身差をつける完勝で堂々と樫の女王候補に名乗りを上げた。

「前走は(落馬負傷の)アクシデントで乗れませんでしたが、調教から素直でかわいい馬で能力を感じていました。重賞でも結果を、と思っていたのでしっかり勝ち切ることができて良かったです。距離は2000メートルがギリギリと思っていましたが、折り合いはしっかりついたので2400メートルでもまったく問題はないと思います」とジョッキーは初コンビでタイトルを奪取したパートナーに対する高い期待値を隠さない。父スワーヴリチャードは東京2400メートルの舞台でGⅠジャパンC(19年)を制し、半姉アドマイヤリードはGⅠヴィクトリアM(17年)を制覇。血統的にも東京適性は申し分ない上がり馬が桜花賞上位組を撃破しても、さほど驚きはないだろう。

著者:山河 浩